そして桜田門 風雲児たち 幕末編 16~22巻 みなもと太郎

16巻から22巻まで。ずいぶん間が開いてしまいましたがどんどん書いておきます!

風雲児たち 幕末編 16 (SPコミックス) みなもと太郎

風雲児たち 幕末編 16 (SPコミックス)
風雲児たち 幕末編 16 (SPコミックス)みなもと 太郎

リイド社 2009-12-28
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風雲児たち 幕末編 17 (SPコミックス) 風雲児たち 幕末編 18 (SPコミックス) 風雲児たち 幕末編 15 (SPコミックス) 風雲児たち 幕末編 19 (SPコミックス) 風雲児たち 幕末編 14 (SPコミックス)

安政の大獄の引き金となった密勅をめぐる、井伊直弼と水戸斉昭の謀略戦。といってもあれこれとボタンの掛け違いもあり、流れはものすごく「政治的」なものであった。水戸斉昭は特に何をしたというわけでもなく、ある意味とばっちりであるとも言えるが、歴史の運命というものは皮肉であります。幕府からすれば藩主クラスの人間が「何も関与していない」というのもやや無理筋なのもそりゃそうだよなというところ。
時系列前後して、それぞれが活動をはじめる武市半平太坂本龍馬。地方では西郷と月照の苦難の旅がはじまる。あれこれも重要な歴史的ターニングポイントであり、描かれるべきことなんだろうけど、それでもうどんどんボリュームがアップしているのが読者としては嬉しい限り。一方で、ちゃんと完結してくれるのかという一抹の不安も覚えつつ(笑)

風雲児たち 幕末編 17 (SPコミックス) みなもと太郎

4845838834風雲児たち 幕末編 17 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社 2010-07-28

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いよいよ明治維新に火をつける吉田寅次郎。真顔で朝敵を殺す計画を説明するみなもと太郎の絵、描写が凄い迫力だ。
西郷と月照の入水、吉田寅次郎の久子との3年ぶりの再会など見どころの多い17巻。
巻の後半、吉田寅次郎および密勅、開国をめぐる様々な政治的駆け引き状況がたまらなく面白い。歴史の授業で習うのは「結果」をシンプルに聞くということが多かったので、こういった「経緯」「解釈」は歴史好きにはとても刺激的だなあと思います。岩倉具視の暗躍も徐々に歴史にお大きな影響を与え始めているぞ!

風雲児たち 幕末編 18 (SPコミックス) みなもと太郎

風雲児たち 幕末編 18巻
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リイド社 2010-12-27
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作者の視点や切り取り方が秀逸なせいでもあるが、吉田寅次郎の魅力が凄く詰まっている。「周囲にどう語られるか」というのが人間の、本人すら自覚していないあれこれを浮き彫りにするものだが、この点、寅次郎は語られ方がすごくいいんですよね。
いよいよ江戸へ向かい、取り調べを受ける吉田寅次郎。周辺の人物との別れのシーンが印象的。また、徐々にプランが描かれてゆく桜田門外の変井伊直弼暗殺計画だが、関鉄之介が鉄人28号の顔でいい味出している。目の所が結果的に、桜田門外の変の映画で関鉄之介役を演じていた大沢たかおにも似てたりして…(笑)
ほかにもシーボルトとおたけさんとの再会、イネの心境などこの巻も見どころたっぷりでした。

風雲児たち 幕末編 19 (SPコミックス) みなもと太郎

風雲児たち 幕末編 19巻
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リイド社 2011-07-27
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長野主膳の暗躍(この人のことは、この漫画を読むまで恥ずかしながらほとんど知らなかった。井伊直弼の背後にいる人物というのもまたドラマチックだ)、高杉晋作桂小五郎のやりとり、そして吉田寅次郎の打首(切腹ではない)。いよいよ長州のエネルギーは沸点に達しようとしている。また奄美大島にいる西郷隆盛、鹿児島で精忠組を束ねる大久保利通(このときは大久保一蔵)も徐々に歴史の運命に身を投じていく。

風雲児たち 幕末編 20 (SPコミックス) みなもと太郎

風雲児たち 幕末編 20巻
風雲児たち 幕末編 20巻みなもと太郎

リイド社 2012-04-26
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突出しようとする精忠組を何とかする大久保一蔵。私は司馬遼太郎の小説なんかでも、かなり大久保利通が好きだ。年とったらああいうヒゲをたくわえたいものだなと思っている。彼の目的のためには手段を選ばない、というわけでもなく、なるべく少ない犠牲の上で最終目的を達成しようとする能力は物凄いものがあると感じておりまして、ときに計算ずくの冷徹さを見せるときがあり、そういったところが西郷との人気の差になっているのかなあという気がしてしまうところです。バクチは打たない。圧倒的に考え、読みきって行動する。私は好きです。
そしていよいよ話は進んで、桜田門の変、その前夜。ここまで桜田門外の変を細かく描いた作品は読んだことなかったので本当に面白い。

風雲児たち 幕末編 21 (SPコミックス) みなもと太郎

風雲児たち 幕末編 21巻
風雲児たち 幕末編 21巻みなもと太郎

リイド社 2012-11-29
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桜田門外の変、いよいよ当日。井伊直弼の運命はギリギリのところだった。作者の言うとおり「見張りを立てていれば当日の事件は防げた」ということが事細かに描写されている。いくつもの当時の常識、思い込みなどの積み重ねで起きてしまった。一方、守る側、井伊側のメンバーというのにも豪傑がいたというところがわかったのは面白かった。特に葛西忠左衛門。二刀流で孤軍奮闘というのはもうヒーローそのものじゃないですか。
井伊直弼の首のその後の話も大変興味深かった。歴史でも、襲撃されて死んだ、というところはわかっても、現場のその後というのがどういうものなのかはなかなかイメージできなかったし、マンガでこういう描写が事細かく綴られているのはイメージしやすい。その後、事件を知った井伊直弼彦根から1000人の藩士が江戸へ、というところでこの巻は終わっている。うーん、ダイナミックだよ。歴史。