ダブルダウン勘繰郎 西尾維新

ダブルダウン勘繰郎 (講談社ノベルス)

ダブルダウン勘繰郎 (講談社ノベルス)

多分ネタばれあります。
んんー、これは戯言シリーズとはまた違った雰囲気だったね。全体的にアッケラカンとしていて明るい。勘繰郎のキャラは颯爽としたヒーロータイプで(あ、ヒーローと書いたけど性別は○○か)、戯言の「いーちゃん」を180度回転させてポジティブにしたらこういうキャラになるかもしれんなー。「名探偵殺し」事件を巡る登場人物達のそれぞれの思惑と行動が絡みあって、なかなか軽妙に楽しく読めた。1時間ちょっとで読了できるページ数も、こういう作品にはマッチしてるなあ(戯言シリーズは「こういう世界観、舞台を背景にした群像劇をゆっくり長く味わいたい! と思うので長文の方が好きですが)。
謎解き要素としては、うーん、まあ怪しげな伏線が色々出てくるのでわかりやすい。わけわからんのよりはわかりやすい方がすっきりはするので、娯楽としてはマルかな。ただわかりやすいせいもあって「出てきた人物名は、全部消化される」の原則(そんな原則ほんとにあるのか知らんけど)により、終盤のクライマックスもフムフムと読んでしまったよ……。だから「語り部が○○」というのはあんまり驚かなかったのであった……。まあ作者の文章を楽しむ限りでは、驚かないからといって面白くないということは全くないのだけども。探偵探し小説というかなんというか。清涼院流水の舞台で……とあるけど、そっちの方は僕はまだ未読。おいおい機会があれば読んでみたいところです。あとクライマックスでの逆島あやめの探偵への強い非難の言葉は、コナンなり金田一少年なりを見ていると、誰しも少しは感じるところがある内容だったですな。B+