逆説の日本史〈7〉中世王権編―太平記と南北朝の謎 井沢元彦
- アーティスト: 井沢 元彦 小学館
- 値段: ¥ 630
- はてな: asin:4094020071
出版社/著者からの内容紹介
なぜ戦乱記を『太平記』と呼ぶのか?「天皇家乗っ取り」目前に急死した足利義満は暗殺されたのか?日本史上これほど天皇という王政の座が揺らいだ時代があったろうか!南北朝の混乱期に権力を目指したヒーロー像に迫る。
日本歴史史上、天皇という王権がこれほどまでに激震した時代があったろうか。王権をめぐって天皇家と、武力をもってのし上がった足利氏との争乱には多くの謎が秘められていた。たとえば、なぜ戦乱の記を『太平記』と呼ぶのか? 「天皇家乗っ取り」目前に急死した足利義満は暗殺されたのか? その義満の野望を、金閣寺の奇妙な三層構造から解読するという大胆な手法を駆使した著者会心の歴史ノンフィクション待望の文庫化なる。内容(「BOOK」データベースより)
日本歴史上未曽有の戦乱期、その記録をなぜ『太平記』と名付けたのか?“天皇家乗っ取り”という野望成就を目前にして急死した足利義満は暗殺されたのか?数々の謎を秘めた南北朝の世に斬り込む逆説の日本史シリーズ文庫、待望の最新刊。
中世編。「太平記」と室町幕府の歴史を追っている。中盤以降の、足利義満、義教の政治史が非常に面白かった。井沢氏の逆説っぷりが遺憾なく発揮されており大変スリリングで読んでいて面白い。歴史はやっぱり戦国時代以降が面白くって、それ以前の時代ってあんまり面白くないというか興味深いものは多いけどゲームや映画や小説の題材になるのはやっぱり戦国時代以降が多い。で、平安、鎌倉というメジャーな歴史テーマに比べて、南北朝以降の室町幕府なんてのは相対的に見てあまり面白くないというかちょっと興味が沸かない部分がかなりあったんだけど(まあ金閣寺くらい)、このシリーズではそういう意識も汲み取りつつ、スポットを当ててメリハリをつけて論じているのが良かった。義満の凄さ、義教の凄さ、これについては再発見だった。特に義教については今までほとんど知らなかったんだけど、彼の政治家としての評価は不当に低いんだなということが思い知らされた。少なくとも能力というか行為の観点では、信長に匹敵するほどのことをやっているのだ。宗教勢力の本質というものを筆者は深くえぐり出している。安定して面白かった。B+