京都見廻組 黒鉄ヒロシ

京都見廻組

京都見廻組

出版社/著者からの内容紹介
坂本龍馬暗殺の実行犯とされる見廻組。この幕臣で組織された京都警備部隊の知られざる景色を、新選組との対比により鬼才が鮮やかに描く。

ハードカバー単行本。幕末、京都見廻組をメインにすえた歴史マンガ。主に佐々木只三郎を主人公に置いて物語が進行していく作品だった。新選組ファンなので読んでみたところ、近藤勇等も登場しており、少々の絡みもあり楽しめた。
クセがある絵だなあと思って読んでいたら、どうもこれはアマゾン紹介文にあるように、「歴画」という独自の手法のものらしい。うーん、絵とか写真で現存するものを元にして、あるいは本人の写真が無い場合はその親や兄弟のそれを元にして、人物の顔を作っていくという手法らしい。なんかこう、感覚的には一旦劇画化して、それをもう一度ある程度デフォルメかける、というような感じかな。マンガ表現としてけっこう特異な描き方かなという気がした。マンガだから新選組が全員女性! とか美少女! とかいう設定でも別に全くかまわないし、逆にこういう本作のようにストイックにリアルさを追求した上でデフォルメかけてもいい。
全体的にけっこうコマ数が多く、1ページに9コマはザラにあった。説明文もけっこう多く、ジャンプだのなんだのという一般マンガ雑誌に載っているものとはかなり異なる印象。好みと慣れでけっこう読者を選ぶ作家さんかもしれないなあと思った。
内容は見廻組という、新選組に比べて比較的マイナーな組織に関してじっくりとその実態に迫る迫力がある作品で、幕末の京都の、もう一つの組織はこういうものがあったのだなあと想像させる。そして坂本龍馬暗殺の実態にも迫った「龍馬討取指令(1)(2)」の章は非常に緊迫感のある章で読み応えがあった。同じ作者の「新選組」も読んでみたいなと思った。B