お茶にごす 1,2,3巻 西森博之

お茶にごす 1 (少年サンデーコミックス)
お茶にごす 1 (少年サンデーコミックス)西森 博之

小学館 2007-08-10
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西森作品を雑誌連載ままじゃなくて単行本で読むのは、『今日から俺は!』以来。天使な小生意気は雑誌である程度読んでたんだけども、いつの間にか精神的にフェードアウトしてしまったのであった。お茶にごす、いやー面白い。西森テイストのギャグが実にいいです。悪魔(デビル)まークンを中心とする、賑やかな楽しい日常。その楽しい日常が不良的存在などによって常に脅かされる。西森作品に出てくるヤンキー、不良っていうのは、見方によっては結構怖いんだけども、かなりの割合で主人公らに茶化されたりからかわれたりするので、真の恐怖は滅多にない。

1巻は様子見、登場人物紹介的な雰囲気で進んだけども、続いてカリスマ的人気を誇る完璧人間という存在でありながらも、ヒゲの濃さをまークンに見抜かれ、「ブルー樫沢」と命名された樫沢が出てきて俄然面白くなった。樫沢の出てくるコマに、架空の青ヒゲが付く描写にハマってしまって夜中大笑いしてしまった。こういう風に、西森作品はしばしば恐るべき破壊力となって読者をハメるギャグやツボが存在している。これでもう俺は樫沢が出てくるたびに、茶道部のメンバーと同じ気持ちになって、心の中でバーチャル青ヒゲを彼に付け加えてしまうのである。しまいには樫沢を慕う人間からも「ブルー……クスクス!」なんて扱われる始末で、気の毒なことこの上ないのであるが、同時に面白いことこの上ないのである。とりあえず3巻までの時点では、ブルー樫沢が3巻までの時点では最も笑えるキャラクターです。部長も結構面白いんだけど、青ヒゲっていう文脈を描いた西森センスはやっぱりまだまだ衰えてないなあ、面白いなあと思う。青ヒゲ部分がまた妙に説得力ある描写なんだよなあ。馬鹿馬鹿しくてたまらん。

あと西森作品に共通しているのは、外見と内面のギャップと意識だよね。外に出ている自分っていうのと、内面の自分との間には差があって、本当の自分を見せまいと、外装の自分が無理をしたり無茶をしたりする。このあたりは今日から俺は! の三橋や天使な小生意気の主人公なんかもそういう外/内の差異っていうのが、キャラクターの独白コマに説得力を持たせていたように思う。茶道部の面々と一緒になって、西森ワールドを楽しむべき作品。コマや描き込みもスッキリしていて話のテンポも良く、読み心地も良いです。B+