おともだち 高野文子

おともだち

おともだち

なんというか、抒情詩的なマンガだった。僕は高野文子作品は、感情レベルでズーンときて納得いくというかわかるものは確かにあるんだけど、全部が全部そうだというわけではなくて、感情レベルではちょっとわかりにくくて、理性で「ああ、これはこういうことなんだな、こういう作品なんだな」と理解する作品もある。以前読んだ『棒がいっぽん』はどちらかというと感情レベルで「わかった」んだけど、この『おともだち』は理性と感情半々で読んだ。大正時代のある少女の身の回りに起こった出来事を描いた『春ノ波止場デウマレタ鳥ハ』は非常に詩的でロマンが溢れていて、悲しさと切なさとはかなさと喜びがじんわりと描かれていて、なかなかお気に入りの作品。高野文子は、題材の選び方と、その表現の仕方が本当に独特だ。一般的なマンガの文法に慣れていると、読むのにけっこう戸惑うかもしれない。いい悪いは別として(まあしかも悪いってことは無いと思うんだけど)、女性作家としては特異な立ち位置にいる人なのかもなあと思った。比較するとアレだけど、ちょっと吉田秋生の『櫻の園』のようなイメージの作品ですなあ。B+

トップラン 第3話 身代金ローン 清涼院流水

トップラン〈第3話〉身代金ローン

トップラン〈第3話〉身代金ローン

トップラン3巻目。これでちょうど折り返し。4巻から後半になるんだけど、3巻でもあんまり話が進んでいなくてガッカリ。言葉遊びは流石だなーと思うところなんだけど、肝心要のストーリーがいまいち引き込まれなくて残念。表紙の挿絵はキレイでいい感じなのに、本編がちょっと……というのはやるせない。女性がカラオケに行く場面があるんだけど、延々カラオケの選曲について書かれてるところがあってこれ意味あるのか? と思ってしまった。あと中華料理屋のメニューの説明が延々入っていて、これまた意味があるのかよくわからない。あとあとの伏線になるんだろうか? なるとしても、この3巻単体で考えると、別に面白くは無かったんだよなー。終盤数ページでやっとこさ怪しげな人物がちょっと追い詰められているのがヤマというのは……うーん。B-