田宮模型の仕事 田宮俊作 文藝春秋

田宮模型の仕事

田宮模型の仕事

出版社/著者からの内容紹介
プラモデルを作るためには世界中の博物館を訪ね歩き、果ては実物を購入して分解してしまう。そんな本気がタミヤを世界一にした!

個人的にはやっぱり、第6章のミニ四駆編が最も身近な話だった。タミヤの前ちゃんとミニ四ファイター(初代)は、小学生時代の憧れの一人だったなあとノスタルジイに浸った。ダッシュ! 四駆郎時代のミニ四駆は、その後フルカウルミニ四駆としてもう一度よみがえり、大ブームになった。その第2次ブームのときは僕はもう既に高校生くらいだったので買ってなかったけど、ダッシュシリーズ(エンペラーとか)は、なんだかんだいって弟と2人でほとんど買ってたなあ。家にサードパーティー製っぽいコースもあったし。
で、この「田宮模型」というのは、ガンプラの流れとはちょっと違うし、海洋堂ともまたちょっと違う流れの模型会社だ(というか海洋堂はもともとは販売店だったはずだしな)。創業時は木製模型だったし、それから戦車とかF1マシンとか戦艦とか、リアルな乗り物をメインにしていたものだ。そのあたりの話は僕の生まれる前の物語なので、ミニ四駆ブームを同時代人として楽しんだようなリアリティは無いが、レーシングカーのブームの話なんかもフムフムと楽しめた。冒頭の筆者の生い立ちはかなりハードで重いものがあったのも印象的だ。時代の記録として残されるべき一冊であると思います。タミヤのロゴたるあの二つの星マークの話もあってオオーと思った(めちゃくちゃアッサリした理由だったのにも驚いた)。文章も読みやすくて良かったです。一読推奨。B+

逆説の日本史 12巻 近世暁光―天下泰平と家康の謎 井沢元彦

やっとこさ家康・江戸幕府編。アマゾンでのレビューでは筆者の見解に異を唱えるものがあって、それはそれで「ホウホウ」と思い読んだ。まあ自分なりの歴史観を構築すべく読むにはこの本は参考資料などがほとんど巻末とかにも載っていないし困るんだけど、「井沢元彦の描く日本史像」というのは十分に魅力的で説得的でユニークで読み物としても面白い。
12巻で印象に残ったのは、「家康は秀頼・豊臣家を残そうとはしたのではないか」という視点。そして御三家の中の「水戸家の地位・役割(及び水戸学について)」だった。あと本願寺が現在のように西と東に分裂している原因は家康にある、というのはウロ覚えの記憶だったので、それも改めて勉強になった。12巻は、初期の頃のように今の歴史学者への批判や社民党への批判をバシバシとはしておらず、そのあたりも読みやすくなってよかったと思う。言ってることは理解できるんだが、なんせ初期の頃は10ページに1回くらいは何かしらの批判をしていて多かったんだよな。どこまでこのシリーズで描くのか分からないけど、幕末編、日清・日露戦争編などあれば期待したいところです。このあたりになると歴史の資料も多そうだけど。B+