逆説の日本史 12巻 近世暁光―天下泰平と家康の謎 井沢元彦

やっとこさ家康・江戸幕府編。アマゾンでのレビューでは筆者の見解に異を唱えるものがあって、それはそれで「ホウホウ」と思い読んだ。まあ自分なりの歴史観を構築すべく読むにはこの本は参考資料などがほとんど巻末とかにも載っていないし困るんだけど、「井沢元彦の描く日本史像」というのは十分に魅力的で説得的でユニークで読み物としても面白い。
12巻で印象に残ったのは、「家康は秀頼・豊臣家を残そうとはしたのではないか」という視点。そして御三家の中の「水戸家の地位・役割(及び水戸学について)」だった。あと本願寺が現在のように西と東に分裂している原因は家康にある、というのはウロ覚えの記憶だったので、それも改めて勉強になった。12巻は、初期の頃のように今の歴史学者への批判や社民党への批判をバシバシとはしておらず、そのあたりも読みやすくなってよかったと思う。言ってることは理解できるんだが、なんせ初期の頃は10ページに1回くらいは何かしらの批判をしていて多かったんだよな。どこまでこのシリーズで描くのか分からないけど、幕末編、日清・日露戦争編などあれば期待したいところです。このあたりになると歴史の資料も多そうだけど。B+