じゃりン子チエ 文庫版 はるき悦巳

ご存知大阪下町マンガ。ホロリとする人情話あり、バカ話あり、謎解き要素のある不思議な話ありで楽しめる。セリフが多いから読むのに時間がかかった。おおまかな感想については過去ログにも書いてあるんだけど、今回は背景について気になったのでちょっと述べたいのである。このマンガの背景には自己主張がない。ジョジョナニワ金融道の背景のような、背景自体に作者の主観が入っている絵ではないのだ。チエの背景は、うっすらと消える完全な実線ではない線で描かれている。これなんなんだろうなー一体……と思っていたら、思いついたのだ。このマンガの背景は、舞台の背景なのだ。吉本新喜劇に出てくる背景のようなもんなのである。記号的。あくまでも記号的。こういうタイプのマンガはあんまり見たことがなかったので、ずーっとこれなんなんだろうなぁと考えてたのだが、この背景は大道具だったんだなあ。それは作中人物の引き立てに見事に関与してるわけで、なかなかいいなと思ったのでした。マンガの中で背景自体は味気ないかもしれないけど、絵全体を見るとバランスいいんだよな。印象的でした。