国が燃える 1、2巻 本宮ひろ志

かつての満州・日本・中国を舞台にした本宮マンガ。メインの主人公は商工官僚、本多勇介でありこのマンガは彼の半生を描いたものになると思われる。1930年代、世界恐慌の影響で日本の政治的な実権が軍部へ移りゆく状況の中で、自分なりの「正義」考え、それを貫こうとする男の生き様を描いている。「まあ、本宮マンガですよね」というとそうだとしかいいようがないのだが、政治が絡むマンガはどうしてもその作者の歴史観や政治的スタンスが垣間見える。このマンガでは蒋介石石原莞爾などが登場するのだが、その描かれ方でなんとなく本宮観がわかる。しっかしまあこの作者は時代や環境が変わっても、ノリはほんとに同じなのな。すごいわ。マンガというジャンル、漫画家という職業のある種の究極の形だ。「良質の面白いマンガを多く作り出す」という意味でこの人はものすごくプロのマンガ家であり別の言い方をすればマンガ屋、ではないだろうか。質的に似たような作家では江川達也浦沢直樹がいるが、本宮ひろ志はその先端にいるなあ。B