百鬼夜行抄 文庫版1、2、3巻 今市子

今市子作品は昔の作品を以前読んだことがあったけど、この作品はちゃんと読むのはこれがはじめて。BSマンガ夜話で取り上げられていたことがあって、面白そうだなあと興味を持ったのがきっかけだ。低血圧マンガだ、と岡田斗司夫さんが評していたけど、ほんと言いえて妙って感じ。動物のお医者さんくらいの温度だ。うしおととら島本和彦作品とは正反対もいいところ。僕はああいう激熱高温高血圧マンガも好きだけど、動物のお医者さんやこういう百鬼夜行抄も大好きだ。さて内容は妖怪のようないわゆる「あやかし的生き物」が関わる短編ミステリーというか。変な、あるいは怪しい出来事が起こって、主人公がそれに関わって謎を解いたりするという枠組みで、後味がなかなかいいあんばいだ。謎は解けるしそういう意味ではすっきりするんだけど、だからといって登場人物が(精神的に)救われたりハッピーエンドになっていってるかといえば必ずしもそうではない。静かな、本当に静かな、淡々とした結末を迎えつづける物語なのだ。尾白と尾黒というコミカルな狂言回し的キャラがいい味出しててそこがこの作品がヘンに暗くならないいい点だと思う。A