吉祥天女 文庫版1、2巻(完結) 吉田秋生

吉田秋生作品については過去にラヴァーズ・キスBANANA FISHで取り上げた。吉田作品は面白いなあ。吉田戦車も面白いけど秋生もとても面白いであります。この作品は2巻で完結だけど、家と家を結びつける因縁や、それに関わる人々の思惑が複雑に入り乱れて、最後の1ページまで緊張感を持ちつつ展開していきます。後半、終盤にかけてちょっと話の展開が急ぎすぎかなという気もしますが、まあ連載マンガだったという点を考えるとこれは十分に許容範囲のうち。
絵は相変わらず吉田絵というか、あっさりしながらも必要十分なものを描いているという感じ。登場人物の目が緊張感を持っていてとてもよいです。目が語っているよ、これは。なんとなくだけど、個人的にはこういう絵っていうのは例えば高橋留美子浦沢直樹の絵でこのマンガを展開しても成り立つような気はするんだよね。まあ、最近思ったんだけど、吉田作品における絵は「目の緊張感」ですなあ。
あと、吉田秋生作品はジェンダー関係の問題提起がたくさんなされていてそのあたり細かく言及することもできるんだろうけど、まあそれはちょっと感想とは別の話なので今回は割愛。いずれ書く機会もあったらいいなと思います。B+