きりひと賛歌 コンビニ版1、2巻(完結) 手塚治虫

きりひと讃歌 (1) (小学館文庫)

きりひと讃歌 (1) (小学館文庫)

↑こちらはコンビニ版ではない書籍です。
ヒトの体が犬のようになっていくという「モンモウ病」という奇病を巡るサスペンスマンガ。いやー、これ怖いわ〜。誤解、罠、秘密、悲劇、このあたりがどんどん出てきて色んな登場人物が追い詰めたり追い詰められたりしているという。じわじわと続きが気になって読んでしまうマンガですな。絵柄もブラック・ジャックよりもかなり劇画調になっているし、ちょっとそれまでの手塚マンガ文法とはちょっと変わった印象。人間の内面を描写するときに突然顔面のドアップになったりしていて、慣れないと戸惑うどころかちょっと笑えてしまう。こういう記号的な技法は今のマンガ文法にはあまり見ないからなー。かなりへんてこなので、さすがに伝承されなかったかな……? と思った。他にも人物の輪郭をギザギザラインで描写しているところとかもあって、表現形式として新しい試みをしてた時期の作品なのかなーという印象。あまり数多く手塚作品を読んでいないので時代的なものを踏まえての考察的感想が書けないのが残念です。面白かった! B+