素晴らしい世界 2巻 浅野いにお
- 作者: 浅野いにお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/05/19
- メディア: コミック
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独特だなと思ったのは、登場人物の目である。瞳。これが「普通の目」なのだ。少女マンガのように目に星はなく、少年マンガのように炎もない。ま、炎は今の少年マンガは滅多にないけど。要するにただの黒目なのだ。マンガにおいては、目は表現の根本に関わるツールだ。それをただの黒目(普通に真っ黒に塗りつぶされた目)にしてしまうということは、「感情をそこでは表していません」という暗黙の意思表示につながる。しかし、その代わり、唇の動きがかなり細かい。微妙の「微」といってもいいだろうか、そういう部分を見事に表現している。「ああ、こんなときにはこんな口になるよな」ということがすごくわかる。
しかし、一つ違和感があったシーンもある。116ページ2コマ目。右利きの女性が右手で酒(栓をひねってあける式のもの)をもって、左手でねじるシーンがあるが、そこに違和感があるのだ。普通、右利きの女性は左手のほうが握力が弱いし、やりにくいはずだ。左手で持って、右手であけるだろうと思うのだが、どうだろうか? 他はポーズについてはほとんど生々しいのですごいと思った。190ページ。ホームレスがベンチから落ちて倒れているシーンでは、ホームレスは左手を下敷きにして倒れている。「辛くて意識がなくなった」ということが如実にわかる描写である。普通、左手でも右手でも、手を下にして寝転んでいると、手がしびれる。しかし、辛いとき、肉体的にしんどいときには、そんなことには意識はいかないのだ。次のページでは、口から泡ふいてるし。そういう生々しさを感じた。1巻と連動して読むと吉だなあ。B+