燃えよ剣 司馬遼太郎

燃えよ剣

燃えよ剣

土方歳三、メチャクチャすげーえな! という作品。喧嘩の天才という天賦の才能を駆使しつつ、己の武士としての生き方を貫き通した男の物語。どこが史実でどこが史実じゃないか、という点に関しては、僕はほとんど気にしていない。物語としてそれが素晴らしく面白ければいいのだと思っている。読了後、登場人物について、ドラマ「新選組!」の各キャラクターの印象とはけっこう異なった印象を持った。土方はそんなにブレなかったけど(でもこんなにバトルを繰り広げまくってたのか! と驚いた)、近藤勇沖田総司斎藤一に関しては、けっこう色々と印象変わったポイントがあったような気がする。土方の中では、「近藤に惚れてる度」と函館編における「榎本に惚れてる度」はどれくらい違ってたんだろう。小説を読んで、天と地、ほどには開いていないような気がした。ふうむ。
まあ、俺の登場人物に対する印象の変化は、ドラマの方の俳優陣が頭の中にあったからというのもあるだろうけどさ……(熱心にドラマを見始めた時期にこういうの読むと絶対そうなるよなーと自分でも思うけど)。まず近藤勇。ドラマほど土方には惚れられていないように見えた。しかしその器、資質についてはほぼ同じような印象。土方は近藤の政治家化、思想家化を本当に嫌がっていたんだなあと思ったのであった。脳内イメージはついつい香取慎吾なんだけど。次に沖田総司。わりと丁寧な言葉遣いで話す、という点ではほぼ同じ。ただ小説のほうがやや精神的に老成していたような印象。特に病気になってからは悟りを開いた者のように、一種の透明感というか神聖さすら感じた。ドラマだと藤原竜也なのでヤングに見えるんでしょうか。そして斎藤一。えーなんというか、函館から帰ってからもだいぶ生きてたんですよねー。オダギリジョーのかもし出す「クール」というイメージからはやや揺れ戻り、「ちょっとクール」くらいに戻りました。バランス感覚。でも一本筋の通ったいい男ですよね。最後まで土方について行こうとしたし。藤堂平助はドラマではまだ伊東派にガッチリ入ったところまでいってないんだけど、小説のほうはかなり近藤・土方を否定してたなあ。
あと、山南敬助(というかもはや堺雅人)は似たような印象。永倉ぐっさんも同様。松平公に提出した建白書のくだりはあまり出てこなかったけど、このあたり司馬ビジョンではどういう風にうつったのだろうかなあ。それと、土方も似たような印象、と書いたけど、ドラマではまだまだ土方さんの鬼っぷりは抑えられてるほうなような気がした。やっぱり土方自身が剣で闘って殺すシーンがないからかなあ。ドラマの方でも土方函館編を、番外編でいいからやってほしいくらいに思う。敗色濃厚時にここまでギラギラに輝ける男は、すごい。あー、新撰組血風録が読みたい。同じタイトルのドラマがちょっと前まで大阪放送でやってたんだよねこれ。これまたキャストが激シブにかっこよかった。何回かに1回ちょろっとづつしか観れなかったので、再度の再放送を心から所望する所存。いやしかし、京都に生まれて良かったなあとまたしみじみ思った。ここはすごい観光地だよなあ。A