彼氏彼女の事情 19巻 津田雅美

彼氏彼女の事情 (19)

彼氏彼女の事情 (19)

いわゆるカレカノです。初期の頃の普通っぽい少女マンガの物語進行構成が次第に変化し、中期からは「各登場人物の過去や現在」のエピソードを思いっきり掘り下げて掘り下げて「○○編」みたいな形にして一人一人消化していく、という形式になっていた。まあそれはそれで良いんだけど、そういう形にすると他の登場人物が、誰が誰だかちょっとわかりにくくなるのねー。
で、この巻は有馬と有馬の家の人間についてずっしりと重量感たっぷりに描かれる。謎解き要素もあるし面白い。惜しむらくは登場人物の絵が見分けつきにくい、というところかなあ。家族全員男前なのはいいけども、違うパターンの顔で男前にしたほうが読みやすいんだけどなあ。まあ「有馬家」という一つの血脈を表象しての「顔」だとすると、似ている顔でもそりゃそうなんだけどさ。あと名前が総一郎・総司・怜司とか似ていてこれもキャラの認識に時間がかかってしまう要因かも。まあそこだけ気になっただけで、後はすごく面白いと思いました。ここまでかなりギリギリの整合性を持って話をつなげられるのは、作者の努力と創意工夫の成し遂げた業績ですなあ。A-