奇人怪人大図鑑 全1巻 水木しげる

「怪傑くまくす」「落第王」「街の詩人たち」「さびしい人」「国際ギャング団」「なめちゃん」「突撃! 悪魔くん」「残暑」「ドブ川」「新講談・宮本武蔵 剣豪とぼたもち」「武蔵 闘牛」「武蔵 コブ」「武蔵 なまけ武蔵」
南方熊楠宮本武蔵を独特の世界観で描いた短編や連作短編とともに、水木しげる自身をモデルにしたと思われる作品が多かった。売れていない頃の自身をモデルにしたものは、戦後の昭和や、彼のような漫画家を取り巻く状況が垣間見えて面白かった。当時の風俗だろうか、「なめ屋」を描いた作品「なめちゃん」がインパクト大だった。状況してきた紙芝居絵師「水鬼しかばね」とあやしい誘い人「鍋底一角」そしてなめてくれる女「なめちゃん」

鍋底「あっ女ですか 上野の仕立て屋の娘に/いいのがいるんですが……」
水鬼「ほう」
鍋底「ゆきましょうか」
水鬼「どこへ?」
鍋底「その仕立て屋の娘を見にですよ」
水鬼「上野までこんな夜更けに?」
鍋底「いえ近くにね/「なめ屋」があるんです」
水鬼「「なめ屋」」(驚きのフキダシと共に)
鍋底「そんな大きな声出しちゃあだめですよ/内職だから」
水鬼「ナイショ!」(驚きのフキダシ)
鍋底「いえこの」「男のアソコをなめてくれるんですよ」
水鬼「女がっ」(驚きのフキダシ+水木流のあの「鼻息フンスカ」!)
鍋底「そうです/ひとり四百円ぐらいかなあ」「僕がゆけば三百円にしてくれるかもしれません」
水鬼 ふーん(描き文字)「カスまでなめてくれる? しばらく風呂へ入ってないもんだから」
鍋底「大丈夫ですよ」

このくだりが最高すぎます。驚きのフキダシ(ギザギザっとしたアレ)と鼻息フーンが効果的すぎる演出で、普通の会話なのに爆笑。一人400円て、昔の物価はすごいなあとか思ったり。その後のちょっと驚く展開も見ものです。「ちょうどなめたくなったころよ」「一本なめるのも二本なめるのも同じだわ」となめ描写に入るのですが、この描写も水木先生燃えまくりなのか4ページ16コマに渡り描きまくります。しかも最後は水鬼しかばね、「ちぎれるーっ」といいながら「ブーッ」とおならをします。肛門のヒダまでも描写されているのが流石。いやー面白いマンガだった! A−