昼メシの丸かじり 東海林さだお

昼メシの丸かじり (文春文庫)

昼メシの丸かじり (文春文庫)

通勤通学トイレにベッド、「ちょっとした暇つぶし本」としては日本最高・最強クラスの作家が東海林さだおである(同クラスに大槻ケンヂがいるが、彼はやや読者を選ぶかもしれぬところがあるが、東海林さだおは万人ウケしそうだ。無論、僕は二人とも大好きだ)。「どこから読んでも読める」食べ物にまつわる短編エッセイ集。どこからでも読めるし、どこから読んでも面白い。冷麺、たんめん、流しそうめん、チキンライス、様々な食べ物に関する面白話、面白エピソードを軽妙な語り口で綴っている。

寝る前に20分くらいベッドで横になってタララ〜っと読んで、その後ぐうすか眠れるのも良い。正座して読め! というような重厚文学作品も世の中にあるが、東海林さだおの諸作品はそういう重厚系とは真反対であり、かといってバカみたいというわけでは全く無いのだ。文章のリズムがいい。絶妙な比喩表現がいい。挿絵がショージ君的なのも、いい(これはまあ作者がマンガを描く人でもあるので当たり前といえば当たり前なのだが、落ち着いて考えてみるとなかなか贅沢なことではなかろうか!)。

いやあ、抜群の安定感と読後感の良さでした。読んだ後にメシ食いたくなる1冊。東海林さだおという人間の安定生産力、文章面白力、挿絵ナイス力にトータルとしてAをつけたいと思う。A