ヴィンランド・サガ 1巻 幸村誠

ヴィンランド・サガ 1 (1)

ヴィンランド・サガ 1 (1)

プラネテスでブレイクした幸村誠の新作マンガ。マガジンで連載していたが、ペース的に週刊誌ではきつかったのか、現在アフタヌーン誌に移籍して今に至る。でも個人的には週刊連載での経験は、移籍することとなったとはいえ、凄くプラスの経験になったと思います。
さて、ヴィンランド・サガ。1巻では4話収録(てことは4週間分か!)。第1話が気合入れて89ページもあるのでほんとは7,8週間分のが収録されると思うけれど、最近は第1話のページ数が非常に多い作品があるしね。
ヴァイキング叙事詩、とあるだけあって、なるほど大いなる叙事詩だなーと思います。ムード的に。ワンピースは冒険ファンタジーであって、幸村の描く世界の厳しさのような「渋さ」が無い。本作では存分にその渋さが味わえて読むことの充実感がかなりある。重みのある実線で描かれる船や砦や登場人物の服装などは、時代の迫力を十分に読者に呈示するものだ。人物の顔、表情も、プラネテスの頃よりも顔に影の描写が多くなっていて、そのあたりも渋みを感じさせる。
第2話の終わりから、突然話が10年前にさかのぼる。主人公トルフィンが、どのようにして今のヴァイキングになっているのか、という過去エピソード編ですな。まだ1巻しか読んでいないので、これがどのくらいまで続くのかわからないのだけど、アフタヌーン誌では新章が始まっているので多分2巻では一区切りついているのだろうと思います。人が生きることに対して真摯に向き合って、登場人物の行動一つで性格がわかる作者は、やっぱりマンガがとてもうまいなあ。過去エピソード編はもうちょっとコンパクトにして本編を進めて欲しいとも思うんだけど、作者の舞台設定、物語の設計にはこれまで特に無駄は無かったので、期待して続きを読みたいところです。B+