エル―全日本じゃんけんトーナメント 清涼院流水

更新すれどもアンテナ上がらず、な今日この頃。なぜだ。ま、いいかあ。というわけで、清涼院流水の1998年発表の作品。1024人の中からじゃんけんチャンピオンを決定する大会、全日本じゃんけんトーナメント。その舞台に隠された秘密と、優勝の行方はどうなる!? という物語でした。最近では「エル」なんていうとデスノートを思い浮かべたりしてしまうわけですが、本作品の「エル」も非常に重要なキーワードとなっております。じゃんけんをネタにした作品ではもう有名な「カイジ」がありますけども、ああいう駆け引きのディティールはこれはそんなになく、なんというか「視点の変換」的な面白さを楽しんだ一冊でした。手に汗握るじゃんけんバトルというよりも、「舞台裏」を深読みしつつ堪能するという感じかなあ。本書には二段組のページと一段組のページの2つの構成があって、二段組から読むことが推奨されている。うーん、結果的にそれによる「狙い」とか「やりたいこと」「面白み」というのはよくわかるんだけど、これを読み方の指示とかしないで、一つの文章構成でやったらどうなったかなあと思う。例えば筒井康隆ならばどうしたか、とかを考えてしまった。作者のサービス精神には敬服する。3時間くらいでサクっと読めて楽しめるエンターテイメント作品でした。B