ドラッヘンの騎士 青池保子

ドラッヘンの騎士 (プリンセスコミックスデラックス)

ドラッヘンの騎士 (プリンセスコミックスデラックス)

「ドラッヘンの騎士」「女王陛下の憂鬱」「カルタゴ幻想」の3本の短編を収録。どれも良かった。青池保子の描く「時代のムード」がいいね。絵もくっきりとわかりやすく丁寧な線で、男性はしっかりとたくましい男性に描かれている。

「ドラッヘンの騎士」
ドイツの古い街の町おこしの行事と、それにまつわる衝撃の過去をめぐる物語。見開きで重要なキーとなる絵が登場したシーンにはしびれた。英雄ハンメルと、ハンメルに滅ぼされたドラッヘン。修道院に隠された真実の歴史に驚愕する。

「女王陛下の憂鬱」
メアリ・スチュアート女王暗殺をもくろむ密偵が主人公の、暗殺計画物語。終始緊張感のあるムードで物語が進行する。歴史の裏舞台に交錯する多数の人間関係が複雑かつ多義的で良かった。

カルタゴ幻想」
古代ローマ帝国に滅ぼされたカルタゴの秘法をめぐる物語。ムッソリーニ時代、1929年という設定で、イタリア人イケメン男性が物語のカギを握っていた。ローマとカルタゴの因縁、カルタゴの呪いなど、ややおどろおどろしいムードを保ちながらも明るく魅力的なキャラクターが活躍することで緩和された。

3本いずれも良かったが、個人的には表題作が一番お気に入りだなあ。B+