修道士ファルコ 2巻 青池保子

1巻がなかなかに面白かったので2巻も読んでみた。修道院が舞台の中世ミステリというのは新鮮だ。

ファルコが所属する僧院の院長のクズっぷりがもうひどくて、俗世で言うと『美味しんぼ』の富井副部長みたいな感覚。まああそこまでひどくはないにせよ、ちょっと人格的に尊敬できない人なのは確かで、潔癖症であり「小鳥の心臓」と評されるほどの臆病・小心者なわけですが、その院長が、優秀な学僧の策謀により、地位もろとも大変な危機に陥る……というのが2巻の1つ目のエピソード。

その優秀さゆえに七つの大罪のうちの「傲慢」を犯してしまった学僧は、外部の者と結託して院長の座を狙うのだけど、院長のクズっぷりを読んできた読者の僕としては、かなり学僧に肩入れしてしまうんだよなあ。あんなんがトップじゃ駄目だわと思うし、他の僧侶たちもよくついていくよなアレに、と思ってしまう。臆病の中にもさすが院長! といいたくなるような骨太さや思慮、カリスマ性なんかがあればまだしも、そういうのが全く無い性格なだけに同情する気も失せる。2つ目の、家族の不仲と相続を巡るエピソードも面白かった。青池作品って、佐々木倫子作品みたいに血圧は低めだけどプロットが非常にいいね。B+

1巻の感想はこちら
地球にマンガがある限り! - 修道士マンガ/刀語