杉浦日向子の食・道・楽 杉浦日向子

杉浦日向子の食・道・楽

杉浦日向子の食・道・楽

亡くなられてから杉浦さんの本が何冊か出ている。本人の望むところであったのかどうか僕にはよくわからないのだけど、生前の文章がたくさん読めるということは、一ファンとしては嬉しいのは嬉しい。

本書では「食べること」「酒器について」「不健康」をテーマに綴られているエッセイが主に収録されている。どれも杉浦日向子という人間を語る大きなテーマとなるものだろう。食についてはこれまでの本でも自己の見解を色々綴っておられるのを読んだことがあるが、写真つきで紹介されるお気に入りの酒器と、病気・不健康というテーマはかなり新鮮に感じた。酒器はカッコよかったり、かわいらしかったり、四季折々12ヶ月にあうイメージのものがそれぞれ語られており、いいなと思った。

不健康は、病気と付き合うことを主なテーマに健康・不健康について考えたあれこれが綴られていた。幾つか非常に共感するものもあり、「体に悪いスポ根」なんかはほんとそのとおりだなと思うことしきり。

ほかは、銭湯のススメや、そば屋はいいぞーっていういつもの杉浦節が愉快に語られている文章があり、楽しかった。平成のご隠居さんであった杉浦さんには、見習いたい物事が多々だなあ。今なお杉浦作品の未読があるということは、幸せなことである。B+