冗談新選組 みなもと太郎

出版社/著者からの内容紹介
三谷幸喜、愛読。
NHK大河ドラマ新選組!』の原点
「これがぼくにとっての新選組です!」
徹底対談:みなもと太郎×三谷幸喜付き!
これだけコンパクトに、スピーディーに、そして的確に、新選組の栄枯盛衰を描いているというのは凄い。いちばん感銘を受けたのは冒頭のナレーションで、「ややこしい時代をますますややこしくした男たち……」とあって。新選組のことをこんなにうまくまとめた文章はないなと(笑)。ああ、これなんだと思いましたね。NHKの人にもすぐに伝えました。(三谷幸喜氏談/本書より)

2004年のNHK大河ドラマ新選組!』のはじまる直前、2003年12月に出版されたもので、おそらくドラマは撮影途中だったのだろう。本の帯で上記のような三谷幸喜推薦文が書かれていたので非常に興味を持ち読んでみた。

うーん、正直なところ絵とギャグ、両方古いかなあという印象が強かった。描かれたのが1970年代前半という時代を考えれば、それはそうなのかというところでもある。なんというか、濃くしようとすればいくらでも濃くなりそうな新撰組という題材を使いながらも、全編予想より非常にあっさりしていたのが特徴的だと思った。日本の歴史において、新撰組というのがどういう役割を果たしたのか、という点をシンプルに突いているのではないかという感じで、なるほど「原点」と言うだけのことはある。「ややこしい時代をますますややこしくした男たち……」というのは確かにそうだなと思うところだ。『風雲児たち』のプレ作品となる位置づけかな。

そしてみなもと・三谷対談があって、もう1作、『仁義なき忠臣蔵』というのが掲載されていて、こちらは忠臣蔵をテーマに描かれた作品。赤穂のテロ組織であり、討ち入りとはすなわち暴力団の殴りこみの相似形である、という視点が導入されており、なかなか読み応えがあった。忠臣蔵については、討ち入りされた吉良家の視点から見た杉浦日向子のマンガが1作あるが、こちらの『仁義なき〜』も良い。セリフが全て方言で書かれており、何とも言えない「ガラの悪さ」がにじみ出ているのが他に無い表現でいいと思った。絵も『冗談新選組』よりも洗練され迫力があり、マンガとして見た場合、こちらのほうが面白かった。B

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