「世界征服」は可能か? 岡田斗司夫

「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)
「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)岡田 斗司夫

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今日ではてな500日目更新! 500日ということは、総記事数は500強というところだろうか。ほぼ感想だけでコツコツ続いたなあ。今後ともこんな具合でやっていきたい。

『世界征服入門』、面白かった。空想科学読本とは似て非なる1冊。世界征服をシミュレーションする、という作業はなかなか知的好奇心をそそるものがある。そして最後に明かされる現代の「悪」とは、という結論もなるほどニヤリとした。マンガ好きならよく知っている名作の数々を題材に、世界征服とはどういうことなのか、世界征服してどうするのか、世界征服してどうしたいのか、すなわち征服者にとっての幸福とは、心の満足とは何なのか、ということを検討している。何やってもヨミ様が死ぬ「ヨミ様すごろく」は最高にうけた。自分で何でも出来る、やりがたがる人はトップには向かないのかもしれん。

ドラゴンボール」のレッドリボン軍、「北斗の拳」の敵キャラ、「バビル2世」のボス、「ヤッターマン」のドロンジョ一味、「仮面ライダー」のショッカー、「レインボーマン」の死ね死ね団、「ふしぎな海のナディア」のガーゴイルなど、様々な作品に出てきた「悪の組織」をモデルに検討しており、かなりニヤニヤして楽しめた。そうなんだよなあ、やっぱりショッカーも福利厚生ある程度しっかりしてないと、入社する人いなさそうだもんなあ。なんかこう、こういうタイプ別に分類した上でのつっこみがオタキングは非常にセンスがあるというか、うまい。BSマンガ夜話で『最終兵器彼女』と『魁!男塾』で彼が解説語りをしていたのを見ていたときも、こういう「分類+つっこみ」が猛烈にうまかったのをよく覚えている。ハッタリの効かせ方もうまいし、テレビ見てても、この人以外でこういう語り口で面白い人っていないもんなあ。松竹的なムードというか。みうらじゅんは「まじめにおとぼけ」なニュアンスなのでちょっと違うし。

で、征服後の世界の検討も面白かった。娯楽は自由競争社会でこそ最高に面白いものが生まれるので、征服して独裁を完成させても、最高に面白いものが生まれるとは限らない(むしろ生まれにくい)という話を北朝鮮とリンクさせて語られると実にわかりやすい。そして最後の、観念としての現代の「悪」と「悪の実行」についての話になるんだけど、これも彼らしい結論だなと思った。『ぼくたちの洗脳社会』や『フロン』などでもそうだけど、「意外だけどよく考えると案外そうかもしれん」という結論に導かれていて面白い。B+