へうげもの 5服(巻) 山田芳裕

へうげもの 5服 (5) (モーニングKC)

へうげもの 5服 (5) (モーニングKC)

5巻目も最高に面白かった! こういうマンガもあるんだなあ、いいんだなあとしみじみと面白い。繰り返し読んで面白い。キャラクター、特に主人公、古田織部の表情のダイナミックな変化がたまらなく笑える。

5巻はわびさびを極めし者、丿貫との出会いのエピソードからスタート。水溜りに落下する古田の顔面たるや! そして雑炊を食べた瞬間の「ンマ〜」という表情、これもいいんですなあ。
丿貫のわび数奇についての見解がまた端的に良い。

茶の湯は/置いとるモンで/己を表し……
客のほうは/それを読み解く/遊びでもある

だが考えても/みい……
もしこの場が/凝ったモン/だらけだと/したら

趣を楽しむ/どころか/読み解くのに/疲れてしまうわ

茶の湯の素人である自分も、「ほほー」と興味深く読めた。なるほどそういう遊びという側面があるのだな、と。そしてその後丿貫が言った「要は重うならんことだ」というのは、これは福本伸行『天』の最終回近辺で、アカギが言ってたことと一緒だなーと思った。マンガで知った人生観が別のマンガでリンクする。生きるにあたって、なるべくかくありたいものだ。また、その部屋の情報を「めたぁ」などの言語でとらえる古田も見事。

さらには千利休の弟子、山上宗二高野山入り。一人一人が己の美、数奇を求め人生を生きていく。次のエピソードとなった、家康上洛と北野政所との出会いも艶やかでいいなあ。そして古田が家康に送った「北にハートマーク」の茶器。ハートマークえらいお気に入りだなとニヤニヤしてしまった。

終盤の聚楽第屋敷のエピソードも大いに笑った。山田芳裕という作家の歴史の解釈力と、無骨ながらもユニークな表現力っていうのは本当に凄いなあ。読む人間をドワっとさせるインパクトがある。そして最後に、最後の歌舞伎者、伊達政宗登場。顔出しはわずか3ページの登場ながらも圧倒的な存在感。てか歌舞伎役者! いやー6服目も大いに楽しみです。次は何色の表紙になるのだろうか。A