サマー・タイムマシン・ブルースDVD

内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
踊る大捜査線」シリーズの本広克行監督が“ヨーロッパ企画”の舞台を、瑛太上野樹里若手俳優陣を迎えて映画化した青春SFコメディ。ある大学のSF研究会のメンバーが突然現れたタイムマシンでクーラーのリモコンを取りに過去へ戻る。

練られた脚本が大好きだ。これは練られ度が高く非常に面白かった。舞台や映像が派手でなくとも、寝られた脚本は人を魅了する。クーラーのエアコンが壊れたので、そのとき部室にいたメンバーは、タイムマシンを手に入れたので過去にリモコンを取りに戻る。「今日」と「昨日」が物語の9割を占めるのだけど、その2日間の中で大昔の伝説や未来の出来事などが明らかになる。「過去からリモコンを取る」と「現在が変わる」というタイムパラドックスが起きてしまうので、果たしてどうなるのか!? という展開だったのだけど、いやあこれは本当にうまい。過去に戻って調子に乗ってくだらないことをしまくるメンバーや、そいつにイラ立つメンバー、見てる側も大変ニヤニヤ、やきもきしてしまう。映像的には細かいアイテムが良かった。ファミコンのカセットやヴィダルサスーン、ガラクタの置物など、くだらないなあと思いながらも何故それがそこにあるのかっていうのか理由付けがあって説得力がある。そして「夏」の描写。これはノスタルジイ心をとてもくすぐる。太陽の光や水のきらめき、道路から立つ熱気や砂の乾き、そういったムードある夏の描写は本当に心をくすぐる。藤子F先生の陽気な感じのSF異色短編といった雰囲気で、とても見心地がよく、後半すごい速度で全ての伏線が回収され謎が明らかになる段階は大変興奮する。傑作です。A