コーヒーもう一杯 2巻 山川直人

コーヒーもう一杯 II (2)

コーヒーもう一杯 II (2)

出版社/著者からの内容紹介
ときに甘く、とにきほろ苦く、温かく優しいコーヒーを巡る物語たち。第1巻刊行以来、多くの書評に取り上げられ漫画の枠を越えて広い読者を得た、アロマ香る珠玉の作品集。漫画界の吟遊詩人がその唯一無二のタッチをさらに磨き上げて贈る、待望の第2巻。

コミックビームは良質の作品をコンスタントに打ち出すなあ。コーヒーと、市井の人間のちょっとしたドラマを描いた短編集。1巻にも出ていたニャン太、豆太のエピソードの続編的なものが掲載されていて、嬉しかった。ストーリーも絵も好きだ。実直な絵柄というか、小道具から背景までとても細かく丁寧に描かれており、コマの隅から隅まで楽しめる。1ページいっぱいに描かれた「街」の絵や、『風邪をひいた日』で2ページ14コマに渡って描かれる、氷まくらを持ってくるシーンなど、静的なものと動的なもの、両方見所がある。1コマたりとも雑っぽいところが無い仕事は、惚れ惚れする。女性キャラクターも男性キャラクターも動物も、皆独特のかわいさがある。特に女性キャラクターの造型は、萌えアニメ路線の絵柄とは全く違うが、妙に愛嬌、色気がある。

ほろ苦い人間関係を描かせたら『人間交差点』とこの『コーヒーもう一杯』が頭一つ抜けるんじゃないかなと思った。マンガが好きな人だけでなく、コーヒーが好きな人にもぜひおすすめしたい作品。A-