黄昏流星群 弘兼憲史 再読

ひょんなことから人から10数冊貰って、ちょこちょこと読んでいる。いやあ、なんかちょっとホロっと来る話が多くて、この手のホロリが味わえてしまうようになったのも、加齢したなあという気がする。島耕作の出世物語よりも、こっちのほうが個人的によほど面白い。ここ10年の弘兼作品で一番好きだなあ。

老いと恋、というのが大枠のテーマ。しかしそれだけでなく、しばしば変なファンタジーがぶち込まれる。タイムスリップして宮本武蔵と旅をし、恋をし、現代に戻って彼の子供を産む話や、安楽死の薬を持った未来の老カップルが安楽死をしたくなくなるまでの話、死んだ妻が幽霊となって出てくる話や平安時代頃から生きている妖女の話など、たまにかなりSFチック(良い感じの「すこし・ふしぎ」感!)が溢れるエピソードがけっこう多い。まあ、多くの男主人公編に普通に愛人が登場するところなどは、さすが弘兼! という気もしないでもないなあ。ははは。

中高年のセックスという現実の生々しさと、恋というファンタジーがほどよく調和して解け合って、しみじみと良い作品集になっている。老いた肉体のシミ、たるみ、弱さをねっとりと描く。端的な表現をする絵がまたマッチするんだなあこれが。連載で追いかけるよりも単行本向きな作品。20代も後半過ぎるとなんかしみじみしてくるぜ。個人的には上記の変なSF感溢れる作品がかなり印象強くて楽しめた。B+

黄昏流星群 32 (32) (ビッグコミックス)
黄昏流星群 32 (32) (ビッグコミックス)弘兼 憲史

小学館 2008-05-30
売り上げランキング :

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
黄昏流星群 31 (31) (ビッグコミックス) 黄昏流星群 30 (30) (ビッグコミックス) ヤング島耕作 主任編 2 (2) (イブニングKC) 専務島耕作 5 (5) (モーニングKC) 黄昏流星群 29 (29) (ビッグコミックス)