ユリイカ 10月臨時増刊号 総特集杉浦日向子
ユリイカ 増刊号 特集=杉浦日向子 | |
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2005年7月、杉浦日向子さん死去のニュース。
杉浦さんの訃報に接した時の衝撃は、藤子F先生のときと同じくらいショックだった。粋でカッコイイ生き方をしているなあと思っていた親戚の叔母さんを、突如亡くしたような気持ちだった。
僕と杉浦作品との出会いは、高校の図書館だった。図書館にあさきゆめみし、銀河鉄道999、火の鳥、ブッダといったラインナップとともに、杉浦さんの代表作である「百日紅」「百物語」が置いてあって、これは読んだことがないなあと思って手を取ったのが出会いである。これがものすごく面白くて、一気に読んでしまった。一気に読んでしまって、何度も繰り返し読んでしまった。挙句、図書館に返却するのが惜しくなり、手元に置いておきたくなったので本屋で探して購入した。以降、絶版になったものを除くと、彼女の著作はほとんど持ってるんじゃないかと思う。無論、マンガのみならず、エッセイ集も買っている(個人的には「入浴の女王」「東京イワシ頭」「呑々草子」「一日江戸人」が大好きだ)。「ごくらくちんみ」「4時のオヤツ」あたりの作品になると、闘病中ということを事後的に知ったこともあり、なんともいえないものすごい儚さが浮かんできて、ちょっとたまらない。
一日江戸人 (新潮文庫) | |
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で、漫画家を引退して隠居生活を送っていた(はずの)杉浦日向子さんは、気がついたらなんと毎週テレビに出てた。NHK「お江戸でござる」で。高校生活、大学生活のまっただ中で放送されていたので、観る機会はそうそう無かったのだけど、今からすれば彼女の江戸解説コーナーだけでも録画して集めておきたかったな。そもそも「わりといつでも観られるよな」と勝手に思っていたのであった。まさか病気だったなんて全く、まあったく、思わなかったのだ。NHK、あの解説部分だけDVDで出してくれないかなあ。
さてユリイカ臨時増刊。いい特集するなあ。表紙は杉浦さんのモノクロワンショット。ほんとにかっこよくてかわいくて綺麗だよねこの人は……。巻頭で色々な時代の杉浦さんの写真が掲載されていて、「お江戸でござる」まではメディア露出はあまり無かったと思うので非常に希少だなと思った。
マンガも単行本未収録短編「三味線枕」がフルカラーで掲載されており、大変お得。中沢新一との対談をはじめとして、色んな人が杉浦日向子について語っている。ソバ屋で憩う人々の集まり「ソ連」の人も出てきて故人を偲ぶ座談会を行っている。漫画家、江戸研究家、蕎麦好き、お酒好きとしての杉浦さんという多面的な特集で良かった。なお荒俣宏さんとの結婚生活は結局のところどうだったのか、このあたりはよくわからないし特に言及はない。でも、離婚していることだし、それでいいんじゃないかとも思う。46歳で亡くなるって、早い。江戸時代の作家だってもっと長生きが多かったろうに、本当に残念だ。「ソバ屋で憩う」を読んでから10年くらい経つ。酒を飲めるようになった今、ソバ屋で憩いたくなってきたよ。
もっとソバ屋で憩う―きっと満足123店 (新潮文庫) | |
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