野村の「眼」ー弱者の戦い 野村克也

野村の「眼」―弱者の戦い
野村の「眼」―弱者の戦い野村 克也

ベストセラーズ 2008-03-26
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内容(「BOOK」データベースより)
勝負事は“洞察とギャンブル”の心理戦である。最高指揮官の「頭脳と情報戦略」。

いやー面白かった。野球そのものから人間形成までの道を書いた、野村監督のモノの見方、感じ方。プレイボールのコールの前に、何をどこまで準備出来るのか、するべきなのか。野村監督はただただ丁寧にやるべきことを積み上げる。本人は「再生工場」と呼ばれるよりも、選手が自分でも気づかなかった武器を気づかせてやる「気づかせ屋」と呼んで欲しいわい☆みたいなことを書いてて妙に可愛かった。いや、やっぱりこの人が北京オリンピックWBCの日本代表監督になってほしかったよ。徹底したデータ分析に基づく判断なので、自分の判断・行動・采配を論理的に全て説明出来ている。気持ちの良いくらい「あのとき、なぜそうしたか」が言葉にされている。短期決戦のオリンピックやWBCでは、相手のデータをいかに集め分析し考察し洞察し判断するかが重要になる(長期のペナントでももちろん重要だけども、短期決戦は1球1打席の重要性はさらに高いものとなる)わけで、選手も一流を揃えた代表チームというものを知将・野村克也に率いて欲しかった。

本書は野村克也の生い立ちから少年時代、南海入団から引退、解説者、評論家、監督時代と幅広く振り返って書かれており、少年時代から南海入団までの苦しい時代がかなり凄かった。こういう人はやっぱりハングリーさが違うわと思った。

余談だけど、昨今の韓国野球のデータ分析・利用の進化は凄いスピードらしく、野村監督のヤクルト時代のスタッフなんかが韓国側に雇われていて、「野村ノート」は韓国でもかなり出回っている模様。そりゃあなあ、星野「勢い」ジャパンでは勝てないよなあ。

あと本書で落合監督日本シリーズでの完全試合直前のピッチャー交代について、野村監督は「その采配もわかるが、自分は反対」という立場だった。私見だけど、野村監督は三度の日本一経験者で、落合監督はまだ日本一になったことがなかった。そういう立場の違いが、あの時の采配にも影響を及ぼしているのではないか。日本一になれば、人として大きく変わると野村監督は言っており、今や日本一経験者となった落合監督は、もし同じようなシチュエーションが再びあれば、今度は違う采配をするのではないかと思っている。Aー