キーチVS 2,3巻

キーチVS 2 (ビッグコミックス)
キーチVS 2 (ビッグコミックス)新井 英樹

小学館 2008-10-30
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じっとりと読ませる展開。BSE牛肉偽装を巡る大きな構造の物語。誰が敵で、誰が味方なのか。社会的地位と正義を天秤にかけさせる苦しさ。重くしんどい物語展開となっている。そんな中、キーチは己の信念をただ通そうとして生きて行く。画面の迫力に圧倒され、インクからはオーラが漂ってくるようだ。農林水産省等の行政機関含む複雑な構造をここまで丹念に描ききった設定と筆力には感心するし、キーチの人間的な魅力とカリスマ性は幼年時代より凄まじいものになってきた。3巻からは盟友・甲斐とのやりとりが緊張感溢れる展開になっており、続きが気になる(なんかこう、「とても楽しみ!」というよりも「とても気になる!」という気持ちのほうが強い)。キーチと甲斐は亀裂するのか否か、「正義を行使したゆえに被害者になってしまった」おっさんは救われるのか。読み応えたっぷりの、濃度と密度のあるマンガだ。偽善も善も悪も迷走せず「真っ当に生きろ」というキーチの思いは読者の腹を深くえぐる。A-