センゴク天正記 4，5巻 宮下英樹

センゴク天正記 5 (ヤングマガジンコミックス)
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長篠の戦いをダイナミックに描ききった4，5巻。なんかこう戦国時代のエネルギーが、物凄くほとばしっている2冊。戦略構想から織田軍の包囲、武田軍の正面突破の思想、共に「どっちが勝ってもおかしくない……ゴクリ……」と息をのませる展開。

先への展開自体は読めてしまうという点、これねえ、我々は既に歴史的事実として、織田信長・徳川家康連合軍が鉄砲隊の活躍により、武田軍を討ち果たしたという現象を知っており、どうしてもそういう立場になってしまうのは本当に残念。歴史、戦国時代を知らないほうが楽しめるとも言える。がしかし、そういう人はこういうマンガをあまり積極的に読むということも期待出来ないなあというジレンマ。

それはさておき、そんな事実を知っていたとしても、その歴史の舞台をあたかも観てきたかのように描きまくる宮下英樹は凄い。資料を読み込んで読み込んで、読み込んだ上で解釈して、空白を推測とエンターテイメント精神で埋め、読者に提示する。そりゃあ面白いよお、説得力と納得力が高くて実に素晴らしい。

この2冊、武田軍の山県昌景、馬場信春が裏の主役。この2人の激闘ぶりをまぶたに焼き付けるべし。歴史フリーク、ノブヤボファンなんかだと当然知ってる2人の名将だけど、メジャーなマンガでここまでクローズアップしてカッコ良く描かれたことはないのではないか。そして彼らの上に立つ、武田軍陣代・武田勝頼。彼らの関係性もまた、武の世界であり美しい。そして彼らに挑んだ羽柴秀吉、明智光秀、徳川家康もいよいよもって化物じみてきた。5巻ラストでは、越後の虎、上杉謙信登場。次は北陸の毘沙門天との戦いであろう。そりゃ面白いわこのマンガ！　B+