岡田斗司夫のひとり夜話 大阪第4回 12月 その1

携帯百景(ケイタイヒャッケイ)

さて第4回。土曜ということもあり心斎橋は賑やかな人出。天気はまずまず、なんばまでてくてくと出かけた。


6時30分くらいに会場入り、行列に並んで待つ。地味にトイレにいきたくなっていた。


会場が開場して入場。真ん中らへんの席に座る。うーん、周囲の人々のiPhone率高い! ノート所持率高い! 勉強会というか、私塾みたいな雰囲気でもある……ような感じだ。


そして7時にスタート、岡田斗司夫登場! はじめて来た人〜と軽くアンケートし「えー、このイベントは有名人や業界人、声優は来ません! おっさん一人で延々屁理屈を喋るイベントです(笑)」とおなじみの宣言。

今夜のお品書きは3つ

・本棚整理術

・ゲームについて

・ノート術

本棚整理術のはなし

ブルータス新年号で取材を受けたという岡田氏。ブルータスは年末年始の号で読書特集をするらしく、そういう趣旨の取材。その際、本棚について語ったのだけど、最近「見せる本棚」について考えたという。今本は1000冊しか持たないことにしている、という事で、一体どういう思考過程を経てそのような結論になったのか!? じっくりと語る。


まず岡田斗司夫の本棚ヒストリー。
小さい頃は、姉と2人で共同の部屋を使っていた。ねーちゃんねーちゃんとあとをついてまわり、ねーちゃんが好きなシスコン的岡田であったという(笑)


そんな姉が思春期になり、一人部屋を貰うことに。岡田はばあちゃんと共同の部屋になった。さらにしばらくすると、家の廊下が自分の部屋になった。


その頃、家の商売が徐々にうまくいくようになって、一軒家を一人で使うという展開に。中学入学祝いに世界百科事典を買って貰った(10万円のセットで、全部予約購入すると本棚を特典でおまけしてくれたという)。「あ」の項目から順に読んでいく活字中毒岡田であった。そして、当時モデルガンが流行っていたが、そっちがモデルガンなら俺はモデル刀剣だという事でモデル刀剣を買って飾っていた岡田、友人が遊びにくるたびにそのモデル刀剣に「なんやこれ!?」と注目される。


家が一番広かった時期は、5メートル×9メートルの部屋に、大きい本棚を複数置いて、蔵書は1,7万冊に。隣の部屋は姉の部屋だったのだが、部屋の中心にブランコが置いてある部屋で、2人しておかしい部屋に住んでいたものだから、父親からは「お前ら姉弟キチガイキョウダイや」と言われる(笑) 部屋が広いので、ダイキンの業務用クーラーで部屋を冷やす。どのくらい冷えるかというと、部屋の真ん中に置いたコップの水がしばらくすると凍るくらい冷える(笑)


結婚後はアパートも借りて、蔵書は最大3,7万冊に。そういう別宅アパートに蔵書を置いていたところ、新たな発見があった。それは、本棚を別宅におくと、使わないということ。やはり本というものは手元とか自分の生活空間近辺、すぐ読めるところに置かないとダメだということ。結局蔵書を見にわざわざ別宅アパートまで行くことは数回しかなかった。大学時代、37000冊はまあサークルとかトップクラスだろうと思っていたら、上には上がいて驚いた。


オタキング事務所を開設した時に蔵書を処分し、3,7万→2万くらいまで減らした。しかし本の代わりにおもちゃを買うようになり、また部屋は一杯になっていった。


レコダイで減量に成功した後、本のダイエットということを考えた。そこで考えた岡田流蔵書整理術、本棚ダイエット。動機は「蔵書は負債である」という考え方に基づいている。買ったのは「いつでも読める」という「状態」、さらに一番高い「読む時間」を支払わなければならないものなのである!

1 まだ手に入る本は売るor捨てる
Amazonスーパー源氏などで手に入るものは捨てよう、大丈夫だ、とのこと。
2 いつでも手に入る本は捨てる
京極夏彦は1度読んだら当分読まないだろうし、今後50年は手に入るだろう(笑)とのこと。
3 読まなければ、と義務感になっている本は捨てる
ストレス要因になるわりにはすぐ読むわけではないので有益ではないということらしい。
4 雑誌は捨てない(最悪、目次は残す)
雑誌は書籍と違い、再び手に入る可能性がかなり低いということに帰因する。
5 思い出だけの本は捨てる(表紙を撮影しておこう)

あっ、なるほどと思ったのは5。理由を詳しく聞くとさらになるほど感あり。
・僕らの子供の頃の思い出っていうのは、多くは写真である
・七五三とか運動会など、人生の大事な瞬間っていうのは写真に残っている
・娘の子供の頃のおしゃぶりは、写真を撮って捨てた
・同じように、思い出「だけ」の本というのは、中身そのものじゃない、思い出を思い出すためのアクセスキーとしての写真が大事なんだ


ちなみにここまでで大体7時半で30分経過。かなりの濃度だ。

そして、どうしても思い出が深い本はどうしよう、僕はこういう方法、といって出したのがマメ本だった! これは衝撃。

・本ごと縮小する! という方法
表紙とかだけ、カラーコピーで小さくする。それを消しゴムとかに巻くと、簡易的なマメ本みたいなのが出来る。これは大きさ自体が何十分の1という大きさになる。例として岡田氏が持ってきて紹介していたのは、ムーミンの本などで、これらは消しゴム巻きよりももっと細かく出来ていたものだった。観客は出来の良さに感嘆の声。「いつかブログで作り方紹介するかも」とのこと。正直これはビジュアル的にもめちゃくちゃかわいくて、かなりそそった。

本にモテモテになってる自分をイメージしてみよう。本は女だ!(笑)


なので、本屋は合コンである! 立ち読みで色々読んで、時間を節約しよう。面白がっている部分だけを読めば良し、興味の継続という点が重要であり、財産なのである。立ち読みする客というのは「本屋に来る客」であり、実は本屋さんにとっては大事。本屋さんの一番の敵は「本屋に来ない人」なのだ。なるほどなるほど。


では、本屋は合コンであるのに対し、ネット書店は何だ? 出会い系だよ!(笑)立ち読みできない以上、実際どういう本(女)が来るのかわからない。どこがポッチャリやねん! と騙される場合もある。評価も「平均値」で出されるからあまりあてにはなりにくい。


そういった色んな出会いを経て買った本は次、どうする?


まず玄関。岡田は玄関に本棚がある。とりあえずここに入れる。手元には1000冊しか持たないと決心し、買ってから30日以内に読まない本は捨てる、売る!


そして読むか読まないかの決心。次の選択肢は4つだ。
1 古本屋(売るという別れ)
2 日常品(自分の思考の源になるような大事なもの、普段使いになる)
3 陳列(「見せる本棚」入り)
4 アルバム(マメ本化したり、あるいは表紙だけ撮影して終わるか)

・「見せる本棚」の意義とは何か。これは自分を表現するためのツールでもあるとのこと。自分が何に興味を持っているかがよく分かるし、いわば骨格であると。見栄えも良くする、カッコ良くディスプレイできれば見栄えもいいし、サマになってカッコイイし、自分の興味がわかって嬉しい。


・そして日常品「使う本棚」、これは骨格の上についた筋肉。資料、実用、趣味的なもの。岡田は収納ケースに入れて、中身を上から写真で撮って、どこに何が入っているかを整理して、いつでも検索して取り出せる状態になっている。


・玄関、というのは、生きるのに必要な脂肪にあたる感じ。たくさんあると太るもとだけど、ある程度は健康のために必要。ここで保留しつつ、読むか捨てるか考える。


・そういえばジョージルーカスも凄い図書館みたいなライブラリーを持っているが、自分で使うのは年数回あるかないからしい。やはり別宅に本を置いても意味がない。


本棚ダイエット、こういう方法はどうでしょうという提案でした!


ここまでで7時50分。ちょうど休憩といったあんばい。


本棚を分けるということ、マメ本のかわいさに痺れたなー。あれはかなり興味深いし、作ってみたいと思った。男はミニチュアが好きだな! ははは。さて自分の蔵書をふりかえるに、本棚が足りてないので複数に分割されてはいる。いるけど日常と見せる本棚にわかれているというわけではないので、かなりごった煮といった感じ。まずは量的整理をすべきなんだろうなーと思うけど、岡田のピークであった37000冊にはほど遠いし、まだまだ処分という形での整理をするには早いような気もしている……。そうはいっても部屋が狭くなるのは負債に時間的金銭的精神的コスト払ってるようなもんだし、他の家具と一緒に整理出来ればしていきたいかなという感じ。

その2「ゲームの話」に続く