カールじいさんの空飛ぶ家

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カールじいさんの空飛ぶ家

カールじいさんの空飛ぶ家 - Wikipedia


同時上映は短編アニメーション『晴れ ときどき くもり』この短編上映も良かった。コウノトリが色んなところに「いのち」を運んでるんだけども、その製造元は雲の上にいる神様のようなキャラクター。で、雨雲みたいな雲に乗ってる神様も、いろんな「いのち」を創るんだけどもなかなかうまくいかない。そこでコウノトリが採った手段とは……というストーリー。短い時間の中に情がぎゅっと詰まっていて、やさしさ、こわさ、粋なこと、そういう要素が感じられた。


OSシネマミントで鑑賞。毎月16日は映画1000円デーなのでラッキーだった。まあカールじいさんは3Dじゃなくてもいいか、と思い2D版を選んだ。場所は真ん中あたりの良座席、土曜午後の回で客の入り具合は7割5分弱。


冒頭10分ちょっとくらいで、カールじいさんが如何にしてあの家で、独りのカールじいさんと成ったか、ということがサイレントムービー調で語られる。妻との出会い、幸せな日々、充実の日々、衝撃の時、別れの時、それからの生活、そして現在。なんかなあーこの10分でぐわーっと物語世界の中に入ったよ。人生は10分に圧縮出来るものではないけれど、人を物語の世界に引き込むのには十分は時間なのかもしれない。そして泣きそうになった。この泣きそうになったっていうのはなんだろうな、別にカールじいさんが気の毒とかエリー(カールじいさんの妻)が可哀想とかそういうのではなく、まあそれも少しはあるけども、それよりも最も胸打つのはやはり彼らの歩んできた日々の愛情のあり方、そういうものに色んな想像の奥行きがあって、感慨深くなったんだろうかなという気がしている。


そして紆余曲折を経て、じいさんは2万個の風船とともに南アメリカにある伝説の滝を探し求める旅に出る。冒険に出るまでの段取りが実に生々しい。冒険に出る、というのが最後の判断の一足飛びなフィクション的な結論だと思うけど、それに至るまでのプロセスがリアル。家の周囲は大規模な開発工事中で、何度も何度も立ち退きを迫られているカールじいさん。エリーとの思い出が詰まった家に固執するあまり、頑固で家のことになるととても感情的になってしまう。郵便受けには養老施設の入居案内が届く。そんな中、開発工事のスタッフともめ事を起こす。この一連の出来事がちょっとの間に描かれる。そういう生活背景をこれでもかと言わんばかりに描き尽くすピクサーの凄さよ。


じいさんが何故そんなに風船を持っていたのか、これもキッチリ伏線があるので違和感なしでいける。そっから先は私はもうあれだ、いつ風船のヘリウムガスがなくなるのか、それが一番気がかりだったよ! 作中でもカールじいさん、「ヘリウムがいつまで持つか……」とか心配してるし! ああいうタイムリミット的要素がゆるやかに存在しているだけで、ストーリーの土台にある緊張感がしっかりするんだな。上限3日くらいの間で旅を成功させて終わらさなければならない、そういう制限の中での冒険。


予告編もちゃんと観ていなかったので、基本的にじいさん一人旅なのかなと思いきや、ラッセルという子供とダグ、ケヴィンという動物が旅の仲間に。仲間になって以降はわりと手堅いファンタジー冒険ストーリーなんだけど、随所で見せるピクサー作品の遊び心および生活のリアリティ、伏線の張り方と回収がハンパじゃない。設定された要素をほとんど魅せて回収する細かさはまことに凄いとしか言いようがない。好物やクセも重要なキーになるという……。


冒険も後半になると、じいさんは随分と元気になっている。ボールのついた杖代わりのアイテムも、前半ではそれを使ってよろよろと歩いていたのが後半ではそれなしでガンガン歩く。なんなら走る。暴れる。若さというのは究極的にはやはり精神の老い具合なのだろう。尋常ならざる精神力があれば、非常時にはややもするとそれが肉体を凌駕し、限界を超えた動きを可能にする。


最後の敵との決着の付け方というのは、アメリカ市民的正当防衛のあり方を提示したような感じ。やっぱりディズニーだったらやらないであろう手法を、ピクサーはやる。それでもなお、エンディングの心地よさは「ならでは」の出来映えでとても良かったなあ。あと犬がいっぱい出てきて犬かわいい。犬好きにもたまらない犬描写! 動物のヨダレべっとりのシーンが幾つかあるけど、タイミングが良すぎていい笑いどころになっておるねえ。

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