岡田斗司夫のひとり夜話 大阪第4回 その3(完結)

第4回その3、一応第4回はこれで完結予定。ノート術、マニュアル編といったところか。

概要については、以前の記事オタキングトークライブ 岡田斗司夫のプロデュース論「好きなことを仕事にする」 「岡田斗司夫のひとり夜話」番外編? - 地球にマンガがある限り!で書いたこともあるので、気になる方はごらんください。

話は岡田氏のノートの歴史からはじまる。

岡田のノート変遷

1 メモなし→最初は何も使ってなかった
2 メモ、スケジュール帳→仕事が忙しくなってきて、とりあえず書いて整理するということが必要になった
3 システム手帳→一元化してみやすいかなという
4 ガイナックス退社前後(セルフカウンセリング代わり)→アニメ制作会社の社長は色々ある(笑)自己対話的な事を色々書いた。ガイナのスタッフに聞いた俺の印象、長所短所など(笑)
5 なんでも書く→書く内容を限定しなくなった
6 大きさ、色、素材色々→自分にしっくりくるものを模索している時期
7 B5に統一→現在進行形

個人的にはガイナ退社前後のセルフカウンセリング代わりのノートが上映されてたのが面白かった。長所で「なんだか知らないけど説得力がある」、とか書かれてたり(笑)

既存の手帳術、仕事術、ノート術ってどうよ

レバレッジシリーズの作者(本田直之)って、凄いような気がするんだけど、実際どうなんだろう、という話。

なんでも作者は、1年の半分をハワイで過ごすという! 1年分の仕事を頑張って圧縮して、レバレッジ効果をあげてワークをこなし、半年をハワイで過ごす! ふんふん、それは確かにすごい。でも、肝心のハワイの生活が全然本に出てこない(笑)本田君、ハワイは本当に楽しいのか!?(笑)

物書きの意見として言わせてもらうと、ハワイで充実した楽しい生活を送っているなら、ハワイ生活の本を絶対書きたくなるし、ライターとしてそれは商売になるのもわかるはず。でも書かない、出ない。ってことは実はハワイの生活って別にそんなに楽しくないのでは(笑)

つまり、本田さんは一生懸命レバレッジ効果をあげて人の2倍3倍仕事して、浮いた時間をハワイで実につまらなそ〜うに過ごしてるんじゃないか、と(笑)あの人は仕事してるときが一番楽しいんだよ!(笑)

めっちゃ笑った。そういえばレバレッジ本、作者は半年ハワイで過ごしてるって何回も書いてたよな〜(笑)

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手帳術の効果はあるのか?

先日ダイヤモンド社の人から、手帳術の取材を受けたんだけど、年収2000万円の仕事術っていうんだよ。
で、「ダイヤモンド社週刊ダイヤモンドで定期的に手帳術、仕事術特集してるけど、自分ら仕事にいかしてに年収2000万円になった人いるの? とつっこむと、取材に来たスタッフ皆フリーズして、「そ、そういえば……」という表情になった。まあ、他人の手帳術や仕事術で、直結的に生産性そのものを上げようとしてもなかなか難しいんだよね。僕はノート術って、心と農業、みたいな関係にあると思う。生産性をあげる=工業的にとらえるとなかなか難しいんじゃないかな。

奈良でのノート術のときにもこういう話はしておられたなあ。勝間和代の事務所のスタッフは本当に年収10倍になり続けてるのか? という疑問などもあり。

(農業的)ノート術による変化

1 やりたいことがやれる
2 悩まない→頭のいい人ほど「頭の中で」悩んでジャグリングしてしまうんだけど、紙に書くことで文字になり、悩む内容が具体化されるのでGOOD、具体化されたら頭のいい人は大体解決出来る場合が多い
3 ストレスがない→悩まない、悩みが減るから精神的ストレスもどんどん減る
4 人前で話せる→話す内容が整理できるから、しやすくなる
5 ケンカしない→今は大事なことだけケンカするけど、昔はよくしょーもないことでケンカしてたなあ
6 いつも楽しく、退屈しない
7 文章が書ける→メモをふくらます、ノートに書いたことをふくらますのがうまくなるから
8 アイデアに不自由しない→アイデアの出し方がわかったり、出す確率がアップする
9 「面白い」と言われる→本人が面白く「なる」から
10 アプローチが自由自在→複数のアプローチが可能になるし、色んなアプローチをやってダメなら諦めよう、引き上げようっていうことになり、諦め方がうまくなる。

参考として1984年のノート「バリバリプロデューサーのアニメ日記」の映像が映し出され、会場笑い。95年?のガイナックス赤井君へのインタビューで「岡田の評価」というメモがあり「そこそこの企画力、行動力」「期待感を煽る能力」などが長所として挙げられている(笑)

では、ノート術とは具体的にどういうものか?

レコーディングダイエットと同様、助走からスタートしてみよう

助走(1週間に2ページ)

・あったことを書くだけ(名詞+動詞)右やったこと、あったことを書く
・見開き1週間分うめてみよう
・右ページからうめる
・左ページは右ページに関することをアバウトに絵やイメージで書く、心を解放する

このあたりは奈良講演とほぼ同じかな。奈良より充実してる感が漂うなあ(笑)

離陸(週2ページ)

・「あったこと」を採点する ☆☆☆とか5〜10点とか
・マイナスの点はなし、0点がワースト
・主観で「楽しさ」「やりがい」「評価」で採点する
→自分が望んでやったことなのに、案外点数が低いものがあることに気がつく
→次からそういうものを減らそうとする(太る努力をやめるっていうのと同じ!)
→採点の蓄積によって、面白いこと(自分にとって)をする確率が増えていく
→こういうのは、意識的にやめようと思って無くても、効果として勝手に減っていく

これはちょっと新鮮だった話。なるほど、行為に採点するのか。レコダイでいうところの、カロリーを書くっていうのと似てるのかな。高いカロリーのものは自然に食べる量、回数が減っていくのと似ている気がするよ。

上昇(毎日2ページ)

・ゴールは「面白い人」になること。お金持ちになることとか、仕事で生産性をあげるためではない! ここ要注意。
・右ページが「論理」、左ページが「おもしろ」という構成
・芸人のネタ帳というのも、何が面白いのか、という論理によっておもしろが成立している。論理は重要。
・論理のポイント
考えたこと+自分の感情、なぜ? なぜ? なぜ? とつまりどうなる? の反復
・「面白い」とは具体的にどういうことか? 5つのパターン紹介

ここでゴールを再確認。仕事で生産性があがるとか、それで儲かるとか、もてるとかっていうのは結果論であって、あくまでも我々は理屈を駆使する「面白い人」になるということをノート術の目的にすると。論理のポイント、展開方法と「面白い」の5パターンはネタバレ的なので省略。これは「考える」とは具体的にどういうことか、ということにもなるなあ。

巡行(毎日2ページ)

・思いつきやアイデアを、仮説や意見に変化させる
・見識=知識+人格+教養
・見識を完成させるのが巡行段階
・人格っていうのは、解釈やスタンス(良い悪いではなく、どうあるか、ということ)
・教養っていうのは、情報の体系化ができていること、情報、対象への遠近感があること

なるほど、奈良講演ではこのあたりはややはしょられていたかな。ちらっと話に出たくらいで。今回は細かく聞けて良かった。ここで9時25分。さあ残り20分ちょっとでどうなるか?

再加速

・いよいよアウトプット
・人に話す、ネットに書く(ブログ)
・見識があると、同じ情報、体験でも人と違う見識により語ることが出来るので、面白くなる確率が高い
・ブログ=見せる本棚
・ノート=人には見せないタンスの中身

ここの注意点としては、ノート術の最初っから(助走段階から)ブログにしちゃうと、タンスの中身を見せてるようなもので、面白く無いものまで記事になる。そういうのが多いとそのブログの評価は「つまんない」となっちゃうので、ブログは面白い事だけ書く! と決めよう、とのこと。

なぜノートを書くのか

これは図表化されて映像が出てたんだけど、文章で書くと難しいなあ。ノート、電脳、現実社会の3つの世界があって、それぞれが重なる部分、重ならない部分がある。ノートの蓄積が自分自身であり、この3つの世界に脳内リンクを作っていく。ノートは自分の「深度」を作っていく作業であり、ノートは土壌である、それゆえにノート術とは農業的なのである。ここで9時37分。

軌道到達

・目標は、ヤフー検索10万件のヒット!
・ブログの注目、評価が臨界量を超えると、その人はもはやハブとして生きることになる
・注目、評価という他人から与えられた「資産」を、自分が面白いと思う他者に「投資」することが出来るようになる
・軌道到達後、月面までいくと、自分のやり方を他人に教えることもできるようになるし、他人にやり方を教えると、自分もより深く学べる→さらに良いノート術が出来ていく→スパイラル

レポートブログが岡田ブログからリンクされたり、色んな有名人が色んなものを掘り出している(紹介したり)というのは、このハブ状態になってるからなんだな。

質疑応答

「盲信することと学び」についての質問
Question
「ブログ(ツイッターか?)で学ぶ=盲信すること、という趣旨の事が書かれてあったが、もう少し詳しく聞きたい。
→この辺の話かな?
http://twitter.com/ToshioOkada/status/6604009554
Answer
・師匠を偉いんだ!と思うことから学びがはじまる
ニュートンはリンゴの木からでも学んだんだから、師匠について否定的なことを考えると学べない
勝間和代(を師匠と見込んだら)のブログの構造を写経しよう→学びの効率化
Question
デメリットとして、丸呑みして模倣が過ぎると、自分自身がなくなるのでは?
Answer
なくなるくらい盲信できる、なんていうことは事実上難しいのでは。そういう意味では、いっそなくなってもいい(笑)そもそも、師匠というものは、いつか別れるんだよ(笑)卒業するか破門されるかわかんないけど、別れの時がくるから安心してくれていいよ。
Question
師匠を選ぶコツはありますか?
Answer
うーん、カンと縁

以上、3時間目でした。
3時間目のノート術で急に濃度がまた高くなったような(笑)
ゲームの話がやや息抜き的な話だっただけに、緩急の付け方もあって余計にそう感じたのかな。かなりお得感溢れるノート術講座でした。僕は奈良講演以降、ちょいちょいノートをつけてるところです。