天才ファミリー・カンパニー スペシャル版全6巻 二ノ宮知子

天才ファミリー・カンパニー―スペシャル版 (Vol.1) (バーズコミックススペシャル)
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幻冬舎コミックス 2003-06
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エリート街道まっしぐらのはずが、母親の再婚で、新たに家族となった田中親子にふりまわされる天才高校生・夏木勝幸の受難の日々。全6巻刊行のスペシャル版第1巻。

全巻読了。1巻で見せた「天才たち」のほのぼのファミリーものを維持しつつも、ぐるっと大きな展開を経て「ファミリー・カンパニー」というタイトルに帰結させていったのはお見事。もう少しキャラクターを掘り下げても良かったか。


スペシャル版(分厚い)で全6冊ということは、通常単行本サイズなら倍の12巻くらいの分量。僕はこれぐらいの分量で完結してる作品は好きだなあ。1巻目は個々のキャラクターのエピソードを少しずつ積み重ねるという漢字で、まだストーリー展開にあまり深みはなかった。けれど、キャラクターとその背景が明らかになるにつれて、俄然面白くなってきて、中盤以降はかなり楽しめた作品になった。


夏木家と田中家、二つの家族が一つになってゆく。と同時に、主人公夏木勝幸とヒロインの永沢京子の関係の変遷。伏線とバックグラウンドの人間関係の構築と回収にはゾクゾクさせられたよ! あの人とあの人が裏で繋がってるなんて! という衝撃。二ノ宮作『GREEN 農家のヨメになりたい』ではわりと裏表のない、ストレートなお話作りをしてるなあと思ったんで、ここまでお見事な筋書きで描くとは思わなかったので、嬉しい誤算(笑) 絵については、相変わらずアッサリした絵でマンガがとても読みやすい。もうちょっと背景や小物をしっかり描き込んでもいいんじゃないかなと思うところだけども、二ノ宮の興味はそこにはないのだろう。B+