ぢごぷり 2巻(完結)木尾士目

ぢごぷり(2) <完> (アフタヌーンKC)
ぢごぷり(2) <完> (アフタヌーンKC)木尾 士目

講談社 2010-07-23
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内容説明
げんしけん』の木尾士目が、まったく新しい世界に挑戦! タイトルの『ぢごぷり』とは、「地獄」から来た「プリンセス」という意味です。それは何のことかって? 可愛らしくも憎らしい……「赤ちゃん」のことなのです! 育児エッセイ漫画とは一線を画す、新生児を取り巻く人間模様。乳児に巻き起こるハプニングの連続と子育ての裏側を、木尾士目らしい筆致で細やかに描いた、誰も見たことのない「子育て漫画」です!!

木尾士目による、赤ん坊についての育児マンガ。2巻目にして最終刊となってしまっており、伏線回収や結末など、駆け足感は否めない。

しかし、赤ん坊を育てることのしんどさ・辛さを思いっきり描いており、そこらののほほん育児マンガとは完全に一線を画すものだ。時には爆笑ハプニングだってあるかもしれないが、赤ん坊を育てるという日常は日々めちゃくちゃハードである、ということが、マンガレベルでも十分に実に実に実によくわかる(そして実際には、さらに大変なのだろうということも容易に想像できる)。

育児シーン、子育ての葛藤自体はものすごくリアリティがあるのだが、さすが木尾士目、設定が微妙に、というかかなり非日常で、非日常的設定のキャラクターを、育児というリアルに放り込んだらどうなるか、という一種の思考実験作品ともなっているところがスゴイ。夫は才能のある絵描き志望者(で、故人)、夫の実家は代々芸術家の金持ち、夫の周囲の女性のハーレム構造(で、ハーレムの代表として主人公が子供を産む、という設定)。

こういう非日常でリアルと離れた設定にすることによって、ある種の救いがあったりもするから木尾作品は面白いマンガだなと思います。読後感は決して「あ〜おもしろかった〜」ではないんだけど、面白いし、妙な迫力に満ちた作品でした。B+

1巻の感想はコチラにあります↓
http://d.hatena.ne.jp/Fujiko/20090914