天地明察 冲方丁
天地明察 | |
冲方 丁 角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-12-01 売り上げランキング : 1205 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
内容(「BOOK」データベースより)
江戸時代、前代未聞のベンチャー事業に生涯を賭けた男がいた。ミッションは「日本独自の暦」を作ること―。碁打ちにして数学者・渋川春海の二十年にわたる奮闘・挫折・喜び、そして恋!早くも読書界沸騰!俊英にして鬼才がおくる新潮流歴史ロマン。
文句なしの傑作!
傑作大河暦ロマンとでも言おうか。江戸幕府に碁打ちとして仕える渋川春海の人生、それは日本独自の暦を作る事に命を賭けた真剣勝負の物語だった。480ページという大ボリュームだが、心地よくスピーディーに読み進めることができた。
「幸福だった。」で始まるこの物語には、当然のごとくハッピーエンドを予感させる。
長い長い人生の物語。徳川綱吉、水戸光圀や保科正之、山鹿素行など歴史的にもメジャーな人物が多く登場する。中でも天才数学者、関孝和の描かれ方が素晴らしい。渋川とは算術の問いを描いた絵馬が縁で「知り合った」2人だが、実際に「出会う」のは互いの存在を知り合ってから15年後である。その15年の間に己の人生の意味を見つけ、精進する渋川。この15年の年月の描かれ方、そしてその後の2人の出会いが、暦の行く末とは別に、大きな大きなクライマックスになっている。
暦も算術も「真実への探求心」「知へのあくなき追求心」が大きな動機になっているところ、この物語はそれぞれ人間が、それぞれの真理・真実へ忠実に生きたドラマだなと思った。保科正之は武士は民を安心して生活させる存在であるという真理を見いだし、それを追求した政治を行い名君となった。大老・酒井雅楽頭は幕府の安定のために人生を尽くした。そして渋川春海は「正しい暦」を作り上げる事に人生を費やした。太平の江戸時代を真剣勝負に生きる男達の知への探求エンタメ小説でした。A-
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