英傑が集い歴史が動く 風雲児たち 幕末編 11~15巻 みなもと太郎

相変わらずじっくり読んでます。
読むほどに発見があり、楽しい。
歴史の知的好奇心の充足と娯楽による快楽、両方高いレベルで大満足できる本シリーズ、22巻が5月末に発売予定ということでさらにどんどん感想アップしたいと思います。

風雲児たち 幕末編 11 (SPコミックス)

伊藤雋吉と村田蔵六のエピソードが「その後」を示唆していて大変興味深い。思わず手元のスマホで「伊藤雋吉」をWikipediaで詳しく調べてしまったよ。そしてそこから横のつながりで明治時代の軍人をたくさん読みあさってしまったりという……。
そして龍馬2度目の江戸留学、福澤諭吉の青春時代から、アロー戦争勃発と大きな転換期を迎える時代への移り変わり。見所多すぎてたまりません!

4845831775風雲児たち 幕末編 11 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社 2007-07-30

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風雲児たち 幕末編 12 (SPコミックス)

12巻前半は薩摩の島津、西郷、大久保の動きを丹念に描き、その後は唐人お吉とハリスのエピソード、阿部正広の死、ジョン万次郎と龍馬の出会いが描かれる。笑いあり涙ありの物語の中、時代は着実に移り変わってゆく! しかしまあ江戸幕府は膨大な失策もあるものの、阿部氏が死んでしまうなど、非常に手痛いアンラッキーも積み重なってしまっているのが悲劇的でもある。これも歴史の運命、必然かと思うと大変複雑な気持ちになりますね。僕たちは江戸幕府がどう終わっていったかという結果を知ってしまっているからどうしても「あとからの語り」になってしまうんだけれども、当時の時代性をみても、どう考えても幕府の立場が圧倒的に強かったにもかかわらず、半ば勝手に致命的な失策を何度も何度も繰り返して瓦解を早めてしまっていたと読めてしまう。

4845831783風雲児たち 幕末編 12 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社 2007-12-26

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風雲児たち 幕末編 13 (SPコミックス)

帆船から蒸気船、蒸気船もスクリュー船へ。絶え間ない技術の進化の中で、歴史とは「後戻りできない道」であることを痛感する。
龍馬と桂小五郎が戦った御前試合はボリュームがある描かれ方で大変痛快!こういうのも良い。
13巻はこの御前試合のアクションシーンが多々描かれておりまして、久々にみなもと太郎の躍動感あふれるアクション・シーンの描写が見られてとても嬉しかったのであります。

4845837072風雲児たち 幕末編 13 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社 2008-07

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風雲児たち 幕末編 14 (SPコミックス)

脳天気っぽい堀田正睦に、京都の岩倉具視が立ちはだかる! クールな橋本左内も大焦り。そして井伊直弼、ついに大老へ! 井伊のブレーンたる長野主膳という人物については初めて知ったので大変興味深かった。さっそく長野主膳についてもWikipediaで調べてみちゃったりしてな…‥‥‥。井伊直弼は時代の流れを読むことが出来なかったが、それは彼に適切な情報が集まらなかったから、という評価もできるかもしれない。長野のブレーンとしての能力は決して低いものではないが、それでも海外のナマの情報を見聞し、適切に集約するということは出来ておらず、結果、井伊の政治にモロに反映されてしまうことになってしまった。

4845837080風雲児たち 幕末編 14 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社 2008-12-26

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風雲児たち幕末編 15 (SPコミックス)

島津斉昭、徳川家定の死でまたもや歴史は大きく展開する。上述したが、幕末は「このタイミングでこの人が(死ぬとは)!」という現象が非常に多い。家定にしても、本人が有能な政治家というわけではなかったが、将軍というのは存在しているだけでそこに膨大な政治的意味性が発生するものであり、少なくとも島津にとっては「家定が生きていること」自体が重要なことであったと言えるわけで、幕府のアンラッキーはまだまだ続く!
江戸ではコレラが流行し、JIN先生がタイムスリップしてくる頃、という状況です。まあJIN先生はやってきてなかったけれども、コレラに対して蘭方医が団結して解決にあたっていこうとする様は素晴らしかった。

4845837099風雲児たち幕末編 15 (SPコミックス)
みなもと 太郎
リイド社 2009-07-28

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