へルタースケルター 全1巻 岡崎京子

ヘルタースケルター (Feelコミックス)
岡崎京子の力作。整形手術で全身を整形した女性「りりこ」の絶頂期から破滅までを物語は描く。とはいってもラストはラストで、隻眼のりりこらしき女性の姿が描写されているので救いはあるような気はするなあ。岡崎作品もまた、人の心のキツイめのところをゴリゴリと描写する作家だなあ。あまりそういう内面えぐりだしをやりまくっちゃうと作者自身の心身の健康を害する恐れがあるのだが、大丈夫だろうか。交通事故にあったそうだけど……。
さて本作で気になることは一点。終盤のシーン、拳銃で自分の目玉を打ち抜く事が黙示的に示されているのだが(そしてそれがラストに繋がるのだが)、拳銃で自分の目玉(眼球)だけを打ち抜いて生きるというのはちょっと無理なんじゃないか? それまで「整形のしすぎと副作用で全身が崩れていく」という描写を生々しく丹念に描いているわりには、最後は妙にアッケラカンとしている。まあいいけどね……。B+

THE WORLD IS MINE 1〜14巻(完結) 新井英樹

かなり前にマンガ喫茶で一気読みした作品。うーむ、新井英樹の傑作ですな。とにかくインパクトの強い作品だった。人が死ぬ事が実にアッサリ描かれている。うーむ、そうなんだよなー。人の命というのは崇高なものであると同時に、アッサリと失われるものでもあるんだよな……。モンちゃんの大暴れ、ヒグマドンの大暴れ、どちらも読み応えありまくり。特にヒグマドン襲来編では、街中にゴジラが現れた時の衝撃みたいなものが、非常に生々しく描かれている。大いなるものに対する畏れとか、目の怖さとか、そういう描写も必見です。絵だけすごいようだけど物語も凄まじいの一言。それぞれの必死の主張のぶつけ合いは、痛快さすらある。色々な考察や解釈ができるだろうと思われるので、時期を見てまた読み直したい作品である。A−