へルタースケルター 全1巻 岡崎京子

ヘルタースケルター (Feelコミックス)
岡崎京子の力作。整形手術で全身を整形した女性「りりこ」の絶頂期から破滅までを物語は描く。とはいってもラストはラストで、隻眼のりりこらしき女性の姿が描写されているので救いはあるような気はするなあ。岡崎作品もまた、人の心のキツイめのところをゴリゴリと描写する作家だなあ。あまりそういう内面えぐりだしをやりまくっちゃうと作者自身の心身の健康を害する恐れがあるのだが、大丈夫だろうか。交通事故にあったそうだけど……。
さて本作で気になることは一点。終盤のシーン、拳銃で自分の目玉を打ち抜く事が黙示的に示されているのだが(そしてそれがラストに繋がるのだが)、拳銃で自分の目玉(眼球)だけを打ち抜いて生きるというのはちょっと無理なんじゃないか? それまで「整形のしすぎと副作用で全身が崩れていく」という描写を生々しく丹念に描いているわりには、最後は妙にアッケラカンとしている。まあいいけどね……。B+