神戸在住 5巻 木村紺

神戸在住(5) (アフタヌーンKC)

神戸在住(5) (アフタヌーンKC)

木村紺の「神戸在住」5巻が発売されていたので買って読んだ。ううーん、面白いなあー。楽しいなあー。このマンガほんとに好きでして、1〜4巻もよく読み返すんですよ。

さて神戸在住。「神戸の大学に通う女子大生の身辺雑記的マンガ」とでもいったらいいのかな。スクリーントーンを全然使っていない絵柄はオール手描きならではの良さがある。このマンガを読むたびに神戸に遊びに行きたくなるのです。いまどきのマンガにしては珍しくコマやセリフは多くって、読むのに時間がかかるのもまたいいところだ。テニスの王子様は1話6秒くらいで読み終わるからね(ただテニスの王子様はいつのころからか、ふくらはぎの筋肉の描写がけっこうリアルになってて、そこは評価したい。ああ脱線した。)。

読むのに時間がかかるということは、マンガの中の時間の進み具合も自然に遅く感じるということだ。作中の登場人物の視点で物語を進めることができる。展開が早かったりテンポのよいマンガは、「それを外から見ている自分」という立場でマンガを読むことになるが、このマンガのようなゆるやかな時間の流れで進むマンガは、作中の雰囲気や世界観に、身も心も浸ることができる。その空気感も僕がすごく好きなところだ。

神戸という街の物語性。大学生という時代。神戸にいこうと思えば日帰りでいける距離に住んでいる僕は、このマンガの扱う地理的条件や大学生という時代にも興味を引かれている。ああ、どうでもいいけど大学生活を素材にしたマンガは最近増えてるな。そして、主人公が美術学科という、ある種のクリエイターである点もなんだか面白い気がする。珍しいもんね。

しかし母親にこのマンガをすすめたら、「絵が小さくて読みにくいしええわあー」と言われた。そのかわり「正しい恋愛のススメ(By一条ゆかり)」はものの数時間で読み終わっていた。こんにゃろう。

魅力はまだあるぞ。登場人物の目。目が好き。目が人格を表現しているの実に素敵。ぶっきらぼうな目や繊細な目、おっとりした目、おびえている目。目の表現のうまい作者はやっぱすげえなあと思うわけです。あしたのジョー然り、ドラえもん然り。

まあ、キャラクターの人物造型に多少そりゃヘンだろうという点もあるが(主人公の性格が古風すぎるとか)、マンガの世界観を維持するためには仕方ないところかな。あと表紙というか装丁、パステル調でいい感じ。表紙のキャラ(主人公)の服装はださいけど。作中ではもう少しマシというかちゃんとしてるんだけど、表紙の服装が一番ださい。やっぱりややこしい柄の服は色つけにくいのかなあ。というわけで、ノホホンとした時間を過ごしたい人にはおすすめのマンガです。