水蜜桃の夜 ジョージ朝倉

初期の短編集である。最新作とはけっこうテンションも感覚も違う。それでも「ジョージの息吹、芽生え」みたいなものは十分感じることはできて、この人はどういう経路をたどって、今の作風に行き着いたのかなあとぼんやり考えた。まあ恐らくは「自分に存在する強いウリ、パワー」を自覚することによって作品にものすごいメリハリがついてとてつもなく面白くなっていくことに気が着いたんだろうけど、けっこう印象違うよなあと思う。この作品は現在のジョージ朝倉っぽくないものが多い。わりとシリアスで、重そうな設定などが散見される。しかしそのような設定下の中でも、やはりこの作者の生み出す人物は物語をグイグイと一生懸命に生きて動き回るのであった。B+