ドラえもん 「帰ってきたドラえもん」

幻の最終回の映画的リメイク作品。劇場でこれ観たらさー、こりゃ泣くよねぇ……。ドラえもんが帰る夜の野比家の、ドラえもんの夕食は山盛りのドラ焼き。いいねえいいねえ。のび太もそれを一つとって、ドラ焼きでお互いに乾杯。その日の夜は一緒の布団に入る2人。……あれ、のび太ってメガネかけたまま寝てた?

夜、公園を散歩するシーン。シーソーの後ろには桜が。春は出会いと別れの季節であり、電灯に照らされた桜が美しく映えているシーンは非常にはかなくも切ない。そして満月の下で、ジャイアンとケンカするシーン。「なぜジャイアンが夜中に歩いているのか」というのは原作では寝ぼけて歩いている、という(夢遊病?)という設定になってましたが、ここでは「偶然」みたいです。ここはちょっと苦しいかなあ。ただ、この2人のケンカは、のび太の「ドラえもんがいなくなってもやっていけるぞ!」という自立のシーンであり、重要です。ボロボロにされても負けを認めないのび太。かっこいい。

「僕だけの力で君に勝たないと ドラえもんが安心して未来に帰れないんだ!」 で号泣。この言葉こそがのび太の自立への決意であり、のび太がダメなままの少年であっていいとは思っていない根拠なのです。

早朝までケガをしたのび太を見守り、タイムマシンで帰っていくドラえもん。かくも美しき別れのシーンが、子供向けアニメであっただろうか! これはほんとに声優も気合入ってるなあと思いました。

で、ドラえもんがウソ800という道具(言った事と反対のことが現実になるという道具)、これを使う必然性からも「季節が春(エイプリルフールであるという必然性)」なんですな。このあたりほんとによくできてる。

そして「ドラえもんが帰ってくるわけ無いよ。2度と帰ってこないって言ってたもんね」という何気ないセリフが、この道具によってその反対のことが現実になるわけですね。ここまで多数の面白いロジックを詰め込んだすごすぎる作品。このドラえもんの帰ってきたという事実により、2人の関係性は変化します。それまでドラえもんのび太の未来を変えるため「だけ」に来た存在だったのが、この瞬間から「未来を変えるのもあるけど、それとは関係なく(理由もなく!)やってきたというフラットな関係の友達」に変化するのです。必見。A