初恋のきた道 チャン・イー・モウ監督

レンタルビデオ借りて鑑賞。暖かくていい味わいのある作品でした。父が死んだということでそれをきっかけに故郷に帰ってきた青年が、母と父の出会いから結婚に至る経緯を暖かく描く物語。
母の記憶のシーン(つまり過去)がカラーで、現在=父が死んでいる状態、はモノクロで描かれています。すなわち母にとっては父と一緒に生きていた「過去」という時代が「記憶に鮮明に残るとき」なんでしょう。鮮明に、なおかつ美しき過去、という解釈ができるのではないかと思います。モノクロの「今」はただ過ぎていく時間でしかなく、母にとって父がいかに大切な存在であったかが伺えます。
そのカラーの記憶の中に出てくる少女が主人公的な存在なんですが、なんともまあ健気だなぁという雰囲気がすごかった。必ずしも食べてもらえるかわからないお昼ご飯を作って届けたり、学校のそばまでいって父の声を聞いたり。彼女が通った「みち」は、彼女とその夫の「恋のみち」だったのだ。ストーカーと言うなよ。健気ってことでひとつ! B+