白中探検部

白中探検部 TAITO BEST

白中探検部 TAITO BEST

http://www.taito.co.jp/d3/cp/stb/
タイトー社から発売された、PS2ゲーム。「体感アドベンチャーシリーズ」と銘打たれた作品だが、その後のシリーズ続編が出たという話は聞かない。パッケージ裏の開設によると、体感アドベンチャーとは、「目で耳で心で感じるアドベンチャーシリーズ」とのこと。まあサウンドノベルの豪華版みたいなものでしょうか。DVXサウンドという独自の音響システムを搭載したもので、2つスピーカーがあったらすごい臨場感らしい。僕は小さいモノラルテレビでプレイしたのでそれは体感できず。さてこの作品「しらちゅうたんけんぶ」と読みます。しろちゅう、ではないよ。

大学の夏休みを過ごす、20歳の青年タカヒロは、故郷の中学の同窓会のハガキを受け取る。そしてそのハガキには謎の暗号のようなものが書かれていて……というストーリー。

結論から言おう。惜しい。すごく惜しい。もう少し、ほんのちょっと、エピソードの展開が自然であれば! シナリオが練られてあれば! と残念に思った。製作納期の時間の都合上の問題なのかなあ。前半から中盤にかけての雰囲気作りは見事としか言いようがないほど素晴らしいのに、終盤のシナリオ展開がかなり荒っぽくて強引過ぎる。ストーリーの後半、追いかけていた謎が解き明かされ、解き明かした主人公達は、自分達がなさねばならぬ事があると知り、それを実行するのだけど、そこが前半からの展開を全く無視したかのような超絶的非科学的展開で、わりとリアリティを追求したムードで話が進んでいたのに、いきなりうそくさい世界に舞台が移ってしまっている。そのプロセスに説得力がある展開ならば全然構わないんだけど、そういうわけではないところが本当に惜しいのだ。現実と非現実を繋ぐライン。ドラえもんで言うと、ドラえもんそのものの存在あるいは机の引出しのタイムマシン(そこからドラえもんがやってきたから)。それに対応するものが、残念ながらこの作品にはなかったのだ。

とはいえ、「不自然すぎ」ではあるが「不快」ではないし、一定の面白さはある(連載してて、終盤に人気が落ちてきたマンガのようだ)。だからこそ本当に惜しいんだよなあ。あと、グラフィックもきれいだし、テーマ曲は菅野よう子作曲でナイスだし、なんと会話部分は声優のフルボイスである。豪華。パッケージがなんともいえないノスタルジー感溢れる絵なので、ある意味そんなに高くない値段で売ってたならジャケ買いしても惜しくはない程度の価値はちゃんとあると思う。B+