新選組!

第39回「将軍、死す」。将軍パートよりも新選組パートがやっぱりメインだったなあ。なかなか深く考えさせられる回でした。坂本龍馬江口洋介)とおりょう麻生久美子)の新婚旅行もアッサリと描かれ、そして谷三十郎(まいど豊)はあまり大きな伏線無く、先週の介錯失敗が発端となって脱走して斎藤一オダギリジョー)により斬殺。いやほんと、あっさりしてるなあ。まあ今回は谷周平(浅利陽介)の心の葛藤の描写がかなり良かったです。剣術の稽古の時間に、三十郎死後ということもあってか沖田総司藤原竜也)にバリバリしごかれる周平。才能が無い人間の努力というものは、才能のある人間からすると本当にもどかしいのかもしれないと思った。新選組の主要メンバーは皆、尋常じゃなく腕が立つからなあ。「普通の剣士」のレベルが異様に高く設定されすぎているのかもしれぬ。井上源三郎小林隆)はそんなには強くなかったらしいけど、それはそれで沖田とか永倉レベルと相対評価してのものもあるんじゃないのかと思う。
深雪太夫(優香)は妹と会って一人二役シーンなるか? と思ったがそうはならず。タイミングのいいときに体調が悪くなるものだなあ。まあこのくらいの都合のいい流れは全然普通だけど。
深刻な新選組内部とはうらはらに、原田左之助山本太郎)とまさ(はしのえみ)の婚姻パートは能天気に明るくていい感じだった。明るいというかギャグパートでもあったから余計にそう思うのだろう。「結婚しちゃったのかよ!」「もう挨拶いったのかよ!」「もう祝言あげたのかよ!」という流れは小気味良い笑いを誘う。その夜の試衛館道場仲間内でのシーンは、永倉新八山口智充)の好漢っぷりが存分に発揮されてて非常に爽快だった。いやあ、永倉さんは実にいい漢ですなあ。逆に土方歳三山本耕史)のモジモジっぷりが引き立った。
あー、個人的には土方は周平も切腹にするのかどうかが気になったんだけど、どうなんだろうかな。近藤勇香取慎吾)直々のお沙汰で事なきを得たけども。井上先生の演技は素晴らしいですなあ。こういう叔父がいたらいいよな。自分から積極的に脱走はできないけれど、人につられてなんとなく脱走するはめになってしまう、そしてそれを心から拒絶できない弱さを周平は持っていた。それは何事にも中途半端な人間の姿であり、凡人であり庶民である我々の姿でもある。突出した才能と努力をしながらも病魔に冒された沖田は、そのような庶民的生き方、態度にどうしようもないやりきれなさを持っていたのかもしれない。それで周平を殴ったのではないかと。まあ沖田は殴りながらかどういうところに腹が立ったのか、よくしゃべってたけどね。
そういえば沖田が斎藤に「なぜ殺さなかったんですか」「今夜のあなたには殺気を感じない」と言ったシーンがあったんですが、これは沖田がもう剣術に関しては少なくとも精神的には斎藤のレベルと同格かそれ以上になったということを示しているのではないか。完全に甘さが無くなった沖田と、人間性を回復させつつあった斎藤。彼らの心境や如何。
あと、今回も山南敬助堺雅人)シーンなしで残念。もう出ないのかなー。