マンガ家誕生。 中野晴行編

マンガ家誕生。

マンガ家誕生。

なかなか豪華。手塚治虫ちばてつやさいとう・たかを赤塚不二夫水野英子石ノ森章太郎水木しげる、永島慎ニ、つげ義春長井勝一の、それぞれの「まんが道」が描かれている。他の雑誌や単行本に収録されたものの中から、筆者が「これがこの漫画家のルーツだ」と思ったものを編纂して纏めたものであると思われる。
いやー、皆、昔は貧乏だったんだなあとしみじみ思った。ちばてつやは中国にいたんだー、とか赤塚は赤塚なりに漫画家としての危機感を、トキワ荘時代に強くもっていたのだなあとか、つげと水木の貧乏具合はかなりキツイなあとか、色々と面白かった。他には石ノ森と手塚の「ジュン」を巡る軋轢なんかも少し触れてあったりして、「あの時代」のタイムリーな話題を知ることができたのはよかった。長井勝一活字で、ガロ編集長という経験を振り返りつつ、「漫画家の才能を見抜くコツ」を書かれている。このあたりもすごく興味深かった。トキワ荘関係のものが好きな人にはおすすめ。 B