逆説の日本史〈5〉中世動乱編 井沢元彦

逆説の日本史5 中世動乱編(小学館文庫): 源氏勝利の奇蹟の謎

逆説の日本史5 中世動乱編(小学館文庫): 源氏勝利の奇蹟の謎

目次はこのようになっている。

鎌倉幕府の誕生(源頼朝と北条一族編―「源源合戦」「幕府成立」を予見した北条時政の謀略
源義経奥州藤原氏編―"戦術の天才"義経が陥った「落とし穴」
執権北条一族の陰謀編―鎌倉「幕府」を教える歴史教科書の陥穽)
武家政治の確立(悲劇の将軍たち編―「言霊将軍」実朝を暗殺した黒幕
北条泰時御成敗式目編―「法の正義」に優先する「道理」精神)

NHK義経」を地味に面白がりながら観ているので、「そういえば逆説の日本史シリーズで中世のあたりのやつあったなあ」と思いながら探してたらやっぱりあった。面白かった。源氏内での争いを「源源合戦」と筆者は言っていて、広い意味での身内の中での内部闘争と北条氏との関係が非常に興味深かった。北条氏は恐ろしい政治家だなー。
源義経に関しては「戦術の天才」と筆者は定義した。戦術の天才というのは、個別の合戦単位での戦争について義経はむちゃくちゃすごかった、ということで、長期的な視野での戦争(いかに終わらせるか、というところまでを踏まえた戦略)については才能がなかった、と書いている。頼朝はそういう才能は非常にあったようで、2人の性質の違いを見事にあらわしているなあと思った。鎌倉幕府の概念がすらすらわかった1冊。このシリーズほんと面白いわあ。B+